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空き家地域の財産に江津市Iターン者に賃貸 民間企業管理の専門部署 NPO定住、レジャー拠点人口流出などが原因となり、県内で急増している空き家。県内の全住宅の約15%に達しており、放置すれば、地域が寂れるだけでなく、犯罪の温床にもなりかねない。そんな“負の遺産”を逆に地域の財産として見直していこうと、Iターン者に貸し出したり、所有者に代わって管理して商機につなげたり、自治体や企業、NPO法人が動き始めている。(佐藤祐理) 県によると、県内の空き家は1978年に約1万3100戸だったが、2008年は約4万4200戸。30年間で3倍に増えており、一昨年11月の県立大生遺棄事件では、犯人が利用した可能性もあるとして、空き家が捜査対象にもなった。 江津市では06、07年度、島根大と市内で実態調査。住宅に占める空き家の割合は市全体で13・1%。しかも、中山間地では18・5%に跳ね上がり、ある地区では40%にも達していた。 状況を改善するため、同市は空き家を資源として着目。「Iターン者らに貸し出せば、庭や畑のある広さが喜ばれ、若者が増えて集落の消滅に歯止めもかかる」などとして、08年度以降、空き家9戸を持ち主から借り、市営住宅として月2万7000円〜2万9000円で賃貸している。 所有者に代わって、空き家の管理を行う専門部署「石見家守倶樂部(くらぶ)」を社内に設置したのは、同市の総合建設業「今井産業」。 管理を任された家屋を定期的に訪れ、窓や押し入れを開けて換気。蛇口の通水をするほか、郵便物の指定先への転送なども行う。まだ利用者はないが、江津、浜田両市の古里に家を残しているが帰省できない、という人らの利用を期待する。 一方、松江市のNPO法人「ASS松江」(原顕夫理事長)は昨年4月から、市内の空き家(家具付き)3戸を、所有者の同意を得て貸し出している。2戸で定住につながったほか、1戸は移住希望者らが3〜30日宿泊し、海水浴などの拠点にしている。 今後は外国人観光客への貸し出しも検討しており、希望があれば空き家の代行管理も請け負う。原理事長は「利用者には、滞在中は地元行事に積極的に参加してもらっている。リピーターとなるきっかけにもなり、町内会の理解も得られやすい」と話している。 (2011年3月4日 読売新聞)
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