事件【産経抄】3月4日2011.3.4 02:45

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【産経抄】
3月4日

2011.3.4 02:45

 昔ながらのことわざが世相の移り変わりに従って、間違った解釈がなされ、行き渡る例が少なくない。たとえば「一姫二太郎」。子供を産む順番は、「1人目は女の子、2人目は男の子が理想的」というのが正しい意味だ。

 ▼ところが、「子供は女の子が1人、男の子2人が理想的」だと思いこんでいる人がいる。子供が3人以上いる家族をめったに見かけなくなった、少子化社会ならではの現象かもしれない。

 ▼誤解される代表的なことわざといえば、「情けは人のためならず」が挙げられる。見知らぬ人同士が、質問者と回答者となるインターネット掲示板は、助け合いという、ことわざ本来の精神に支えられてきた。ところが、「aicezuki」のハンドルネームで投稿されたのは、実際の入試問題だった。

 ▼善意で回答し知らないうちにカンニングに加担させられた、ユーザーの間に困惑が広がっている。投稿に関与したとみられる、仙台市の予備校に通う男性(19)が、きのう京都府警に逮捕された。情けをかけても、結局その人のためにならない。この間違った解釈が、ますます広がりそうだ。

 ▼京都大など4大学を受験する学力の持ち主なら、当然「学問に王道なし」のことわざは承知しているはずだ。ギリシャの数学者、ユークリッドが、幾何学を教えていたエジプト王に語った言葉に由来する。王道はroyal roadの直訳で、楽な道という意味だ。

 ▼もっとも漢文では、儒教で理想とされる仁徳に基づいた政治のことで、覇道の対義語となる。日本語では転じて、正統な道の用法でも使われる。携帯電話を使った入試投稿という覇道で、学問に近づこうとするのは、もちろん大きな誤りだ。

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