2011年03月04日12時15分
受験より公平な選抜 - 乱択のすすめ
これこそ、受験に代わるたった一つの冴えたやりかたではなかろうか。
理不尽にやると上手くいく - レジデント初期研修用資料
今回の「ソーシャル・カンニング」に限らず、毎年この時期になると入試の話題で巷はごったがえす。天候不順で入試に間に合いそうになかった受験生を通りすがりの誰かが送り届けた「美談」だとか、「出題ミス」で「正解がない問題」を出題しただとか…入試に翻弄されているのは受験生だけではなく、それが飯の種であるはずの予備校ですら辟易しているのは「悪問だらけの大学入試」にもある通り。
にも関わらず、入学試験に代わる入学志願者選考システムが日本でなかなか受け入れられないのは、それが公平--だと見なされている--からだ。たとえ貧乏な田舎者でも、友情はさておき努力さえすれば、裕福な都会人に勝利できるのだ、と。
それが幻想であることは、「お」が付く方の受験を体験した親子であれば嫌でも気づく。私の長女はこの春から中高一貫校に通うのだが、公立小学校の授業の範囲内の努力では絶対合格できなかったと断言できる。彼女ももちろん努力したのだが、その努力を滑らせなかったのは、努力を効率化する塾の存在と、塾通いを支える彼女の母の献身と、そして彼女達がそうしても家計が破綻しないだけの財力がたまたま私にあったからだ。
その長女がお受験を選んだのは、私立に行きたかったからではない。公立に行きたくなかったからだ。6年前にせっかく小中学校の隣という一等地に引っ越して来たのに。私としてはちょっと損した気分にもなったのだが、公立校の実情を娘から直接聞き及んで、私としては彼女の決意を支持するしかなかった。
その一貫校の教科書が先日届いたのだが、それを見た瞬間「ああ、こりゃ公立かなわんわ」と感嘆せざるを得なかった。理科の教科書一つとっても、中学の段階で物理・化学・生物・地学に分かれている。正直、これほどの差だとは思わなかった。
正直、「やる気まんまん」の地方の清貧優等生が、「公立がいや」で都会の中高一貫校に進んだ彼女達に「勝つ」のは、ボールでゲルググを仕留めるぐらい難しいと言わざるを得ない。それは不可能とは言えないけれど、公平とはもっと言えないのではないか?
理不尽にやると上手くいく - レジデント初期研修用資料
それが具現化されたのが、今の受験制度ではないのか?
私立大学はとにかく、国公立大学は、「上から3000人」ではなく「授業についていける候補者から3000人」を乱択した方がよいのではないか。それであれば、「授業についていける」の確認は高校の成績なりセンター試験の結果なりで充分だろう。
そうすれば、志願者たちは受験に特化した無駄な努力からも免除されるし、コンディションのムラを気にする必要もなくなるし、なにより無理な優越感や劣等感からも解放される。もちろん大学側は、最大の雑務がなくなるという、受験生以上に大きな利を得る。
乱択のよい点は実はもう一つある。すでに実績があるということだ。
国立大付属小学校、中学校について : 趣味・教育・教養 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
理不尽にやると上手くいく - レジデント初期研修用資料
法律それ自体に理不尽を組み込んで、ここから先は黒、グレーゾーンに入ったらサイコロを振られて、理不尽な目が出たら問答無用で皆殺し、というルールにすると、グレーゾーンに近寄る人はいなくなる。サイコロやくじ引きと交渉したり、怒りをぶつけたりするのは空しいだけだから。少なくとも、日本においては。
今回の「ソーシャル・カンニング」に限らず、毎年この時期になると入試の話題で巷はごったがえす。天候不順で入試に間に合いそうになかった受験生を通りすがりの誰かが送り届けた「美談」だとか、「出題ミス」で「正解がない問題」を出題しただとか…入試に翻弄されているのは受験生だけではなく、それが飯の種であるはずの予備校ですら辟易しているのは「悪問だらけの大学入試」にもある通り。
にも関わらず、入学試験に代わる入学志願者選考システムが日本でなかなか受け入れられないのは、それが公平--だと見なされている--からだ。たとえ貧乏な田舎者でも、友情はさておき努力さえすれば、裕福な都会人に勝利できるのだ、と。
それが幻想であることは、「お」が付く方の受験を体験した親子であれば嫌でも気づく。私の長女はこの春から中高一貫校に通うのだが、公立小学校の授業の範囲内の努力では絶対合格できなかったと断言できる。彼女ももちろん努力したのだが、その努力を滑らせなかったのは、努力を効率化する塾の存在と、塾通いを支える彼女の母の献身と、そして彼女達がそうしても家計が破綻しないだけの財力がたまたま私にあったからだ。
その長女がお受験を選んだのは、私立に行きたかったからではない。公立に行きたくなかったからだ。6年前にせっかく小中学校の隣という一等地に引っ越して来たのに。私としてはちょっと損した気分にもなったのだが、公立校の実情を娘から直接聞き及んで、私としては彼女の決意を支持するしかなかった。
その一貫校の教科書が先日届いたのだが、それを見た瞬間「ああ、こりゃ公立かなわんわ」と感嘆せざるを得なかった。理科の教科書一つとっても、中学の段階で物理・化学・生物・地学に分かれている。正直、これほどの差だとは思わなかった。
正直、「やる気まんまん」の地方の清貧優等生が、「公立がいや」で都会の中高一貫校に進んだ彼女達に「勝つ」のは、ボールでゲルググを仕留めるぐらい難しいと言わざるを得ない。それは不可能とは言えないけれど、公平とはもっと言えないのではないか?
理不尽にやると上手くいく - レジデント初期研修用資料
議論をとことん戦わせて、「正しい意見に誰もが合意する」状況を目指してしまうと、結論はたいていろくでもないものになる。劣ったアイデアが「努力賞」として取り込まれた結果として、成果物の魅力が削がれてしまったり、「全員の合意」に到達できなかった結果として、組織を「純化」する流れが生まれて、合意できない人が殺されてしまうことだってある。
それが具現化されたのが、今の受験制度ではないのか?
私立大学はとにかく、国公立大学は、「上から3000人」ではなく「授業についていける候補者から3000人」を乱択した方がよいのではないか。それであれば、「授業についていける」の確認は高校の成績なりセンター試験の結果なりで充分だろう。
そうすれば、志願者たちは受験に特化した無駄な努力からも免除されるし、コンディションのムラを気にする必要もなくなるし、なにより無理な優越感や劣等感からも解放される。もちろん大学側は、最大の雑務がなくなるという、受験生以上に大きな利を得る。
乱択のよい点は実はもう一つある。すでに実績があるということだ。
国立大付属小学校、中学校について : 趣味・教育・教養 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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オープンソース開発者。ディーエイエヌ有限会社代表取締役。
・Dan Kogai (dankogai) - Twitter
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