国の重要文化財に指定されている添田町の古商家「中島家住宅」について、うきは市在住の所有者が町に譲渡する意向を示していることが分かった。町も「貴重な文化財として、町おこしの観光資源にもなりうる」と町有化に前向きで、寺西明男町長が18日、うきは市に直接出向き、活用方針を説明するという。
中島家住宅は江戸時代、酒、醤油(しょうゆ)を製造販売していた商家。約1500平方メートルの敷地には江戸末期の1850年代建築とみられる平入り切り妻造りの母屋や1842年建築の土蔵、池泉庭園があり、77年に国重要文化財に指定された。98年以降は空き家で、うきは市在住の所有者の女性(79)や家族が管理してきた。
所有者側は約10年前から数度にわたり町に「地元で末永く管理してほしい」と無償譲渡を打診してきたが、町側が受け入れなかった。今月上旬、所有者側が「町長交代後、町の意向が知りたい」と連絡してきたため、町職員が女性の夫(88)に面会。調度類も含め譲渡する意向が示されたという。町は近く具体的な活用計画策定に着手する方針だ。
寺西町長は「一帯は小倉から英彦山につながる旧小倉街道沿いで、大きな商家が並んでいた通り。譲渡を受け、周辺の史跡や公園とも連動させて地域の誇りとなるような活用策を考えたい」と話している。【林田雅浩】
〔筑豊版〕
毎日新聞 2011年2月17日 地方版