マット安川 今回のゲスト・池東旭さん曰く「韓国も日本とおなじく、対中国には弱腰」とのこと。奇しくも中国や北朝鮮でデモが起きた旬なタイミングでのご出演。中国と北朝鮮の関係から、菅政権の外交姿勢や日本への提言まで、厳しい目でお話しいただきました。
北朝鮮で本格的な反体制暴動が起きることは、当面ない
ジャーナリスト。韓国慶尚北道大邱生まれ。韓国日報勤務を経て、1981年「週刊韓日ビジネス」を創刊。経済、国際問題など朝鮮半島の諸問題に関する論評を展開する。
(撮影:前田せいめい、以下同)
池 北朝鮮の人々が食糧不足への不満から治安要員を襲撃している・・・。一部の韓国メディアがそんな報道をしました。
北朝鮮国民に不平不満がたまっているのは確かでしょうし、そうした荒っぽい動きも多少はあるはずですが、この報道には希望的観測が混じっていると思います。特に保守派メディアは、北朝鮮にアフリカや中東の民主化運動が波及して、何かが起きることを期待しているところがありますから。
しかし私は、当面、本格的な暴動は起こらないと見ています。
まず、北朝鮮で反体制運動など起こしたら、当局が強硬に鎮圧します。韓国ならせいぜい刑務所に入れられるくらいで済みますが、北では殺されます。しかも本人だけではなく、家族にも類が及ぶ。怖くて暴動など起こせないのです。
もうひとつの理由は、中国がそれを望まないことです。
中国にとって今、一番重要なのは自国の経済発展です。それを妨げる朝鮮半島のゴタゴタはご免蒙りたい。戦争はもちろん、反体制暴動も起きないのはそのためです。
北朝鮮は中国の属国と言ってもいいくらい中国の影響力に左右される国です。中国の言うことを聞かずに核を保有しているじゃないか、と言われますが、実際は頭が上がりません。核の保有にしても、私は中国がやらせていると見ています。
だいたい中国が本気で止めさせるつもりなら、簡単なことのはず。なのにそれをしないのは、戦略的な意図があるからにほかなりません。
北朝鮮が核を保有し続けていると、日本や米国が中国に問題の打開を頼むという構図ができるでしょう。中国はそういうしたたかな国なんです。
金正日がいなくなれば、一気に体制崩壊に進む可能性あり
一国の体制が覆るときには、背後で国外の勢力が動いているものです。韓国で軍事独裁政権が倒れたときにしても、米国が糸を引いていました。
しかし現状では中国はもちろん韓国も、北朝鮮の反体制運動を支援しません。民主革命など起きようはずがないのです。
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