ただ、金正日が死んだとなれば、話は違ってきます。ソ連が崩壊したとき、北朝鮮にも波及するのではないかと言われながらそうならなかったのは、金日成が健在だったからです。
当面、体制崩壊がないと見るのは、まだ金正日が生きているからでもありますが、彼がいなくなれば北朝鮮国内がゴタゴタするのは間違いありません。中国が愛想を尽かして、政権を代えた方がいいと考えたら事態は急変します。
そもそも中国は北朝鮮の世襲体制に反対なんです。三男・金正恩への権力委譲を一応は承認しましたが、それは金正日の強い意向を受けてのことでした。
彼がいなくなれば、もう義理は果たしたとばかり、中国寄りの軍人を動かしてクーデターを画策する可能性も大いにあるでしょう。金正日はもはや余命幾ばくもないだけに、目が離せません。
米国の視点というフィルタが真実を見誤らせる
アフリカや中東の民主化運動が取り沙汰されています。この問題をめぐる日本メディアの報道を見て感じるのは、米国の視点に偏りすぎていることです。
大手マスコミは特派員を派遣しているとはいえ、彼らは欧米のジャーナリストに聞いた話を基に記事を書いています。見方が偏るのも当然です。
ムバラクは悪い、カダフィは悪いと決めつけていますが、彼らが長期政権を維持しえたことにはそれなりの理由があります。まったくダメな政権が30年も40年も続くはずはないのです。
私は中東に2年ほど住んだことがあります。そのとき米国の視点というフィルタが真実を見誤らせていることを痛感しました。
例えば、イスラム原理主義は悪だというイメージが定着していますが、それも米国寄りの見方です。
私自身、外から見ていたときは、豚肉を食べてはいけない、酒を飲んではいけないなどというルールはおかしいと思っていましたが、実は理にかなっているんですよ。酔い覚ましの水も足りない砂漠で酒を飲むのは危険ですし、あれほど暑いところで豚肉など食べたら食中毒を起こしかねませんからね。
妻を4人持っていい制度だって、実は理にかなっています。戦争が絶えず、戦死者が多いとなれば未亡人も増えるでしょう。一夫多妻は彼女たちを救済する、いわば社会福祉制度なんです。
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