昨年11月、歌舞伎俳優の市川海老蔵(33)に暴行を加え、重傷を負わせたとして、傷害罪で起訴された伊藤リオン被告(27)の第2回公判が3日、東京地裁で行われた。伊藤被告は被告人質問で「海老蔵さんが自分の胸ぐらをつかんだ」と、きっかけは海老蔵だったことを改めて強調した。東京地検は懲役2年を求刑、弁護側は執行猶予付き判決を求め結審した。判決は14日に言い渡される。
きっかけは海老蔵の頭突きだった―。ネクタイ姿の伊藤被告が、法廷で事件当日の行動を語った。
先月18日の初公判、21日の保釈時、ともに報道陣をギロリとにらむ姿が印象的だったが、この日は傍聴席を見ることもなく証言台へ。173センチ、90キロの体に似合わぬ小さい声で、淡々と質問に応じた。
暴走族の元リーダー・Aに呼ばれた伊藤被告が、弁護人に海老蔵を殴るに至った経緯を聞かれると「Aの髪を引っ張って引きずり落とした。止めに入ったら左手で胸ぐらをつかんで、右手に灰皿を持っていた。止めに入ったAに頭突きをして、どうしようもないと。『このままだとAが危ない』と思った」と改めて先に手を出したのは海老蔵であり、殴ったのはAを守るためだったと主張した。
伊藤被告によると、力いっぱいのパンチではなかったが、海老蔵は後ろに倒れた。すると、海老蔵は倒れたまま前蹴りで反撃したという。「(蹴りは)当たったけど、強い衝撃じゃなかった」。ダメージを負うどころか、この反撃でさらに冷静さを欠き、その後は一方的に殴った。海老蔵は「オレも悪かった」と謝ったという。
伊藤被告は暴行を認めた上で「今思えばやり過ぎてしまった」と謝罪した。「自分のキレやすい性格など、変わらないといけない」とも話した。
過剰防衛を主張する弁護側に対し、検察側は海老蔵にも芳しくない行動があったことを認めた上で「なぜもっと早くやめなかったのか」と、一方的に殴り続けたことを「悪質」と指摘。これまでに何度も傷害事件を起こしてきた被告を「なぜ何度も裁判ざたになるのか」など厳しく追及した。
伊藤被告は何度も答えに窮し、「身にしみて反省するために刑務所に入った方がいい」と諭されると「もう分かっています…」。2児の父親でもあり、裁判官からも「子供にどう説明する」と問われ、「説明できないですね」と声を落とした。
くしくも3日は海老蔵とフリーキャスターで妻の小林麻央(28)の結婚記念日。7月には第1子も誕生する。判決は14日。過剰防衛が認められ、執行猶予となれば、それは同時に海老蔵の愚行が原因ということにもなり、舞台復帰に支障をきたす可能性も。果たして、どういう判決が下されるのか。
◆入籍1周年も海老蔵無言 〇…海老蔵はこの日、麻央夫人と午前7時に自家用車で外出。4時間後の午前11時頃に帰宅した。買い物などに行っていたとみられる。取材陣からの問い掛けには一切答えず、無言で家の中に入ったが、妊娠5か月の麻央を気遣う様子が見られた。ちょうど1年前に入籍。初の結婚記念日に、伊藤被告に求刑が告げられるという“皮肉”に、夫婦で何を話し合ったのだろうか。
[2011/3/4-06:06 スポーツ報知]