2011年3月4日5時35分
京都大など4大学で入試問題が試験中にネット掲示板に投稿された事件で、京都府警は3日、投稿で大学の入試業務を妨害した疑いが強まったとして、仙台市在住の男子予備校生(19)を偽計業務妨害容疑で逮捕し、発表した。府警の事情聴取に対し「一人で携帯電話を使って投稿した。合格したかった」と認めているという。
府警によると、京都大を受験した予備校生は2月25、26日の試験開始前にそれぞれ、試験官から試験中の通信は不正行為に当たるとの説明を受けた。しかし、2度も同じ説明を受けた後の英語の試験中に、和文英訳の設問を掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿。別の利用者から投稿された解答を見て、答案用紙に書き込むカンニング行為をし、大学の業務を妨害した疑いがある。
捜査関係者によると、予備校生は「ほかの3大学でも同じ方法で一人でやった」などと説明。不正については「反省しています」と話しているという。府警は、予備校生が一連のカンニング行為を単独で行ったとみている。
府警は、カンニング行為で試験の公平性が損なわれた▽大学側が不正に対応して内部調査などの事務作業に追われた――などを理由に、偽計業務妨害罪の要件を満たすと判断。逮捕に踏み切った理由については「社会的反響の大きさや、不正発覚後に一時的に姿を隠したことなどを考慮した」と説明している。
捜査関係者らによると、予備校生は昨春、山形の県立高校を卒業。昨年の受験に失敗して大手予備校「河合塾」の仙台校に入り、同校の学生寮に住んでいた。今年の入試では、2月8〜26日に、同志社大(京都市)、立教大(東京都)、早稲田大(同)、京都大(京都市)の順でそれぞれの文系学部を受験していた。
河合塾仙台校は3日、予備校生の事件を受けて会見。同校によると、予備校生は1月の大学入試センター試験で思うような結果が得られず、担当講師に「2次試験でがんばらないと」などと不安を漏らしていたという。
予備校生が使っていたのはスマートフォンでなく、一般の携帯電話。逮捕容疑となった京都大の試験のほか、同志社大、立教大、早稲田大の英語試験でも同一IDでの投稿が確認されている。府警は今後、投稿の経緯や手口の解明を進める。
一連の不正は、2月26日に各大学が把握。府警は、ヤフーやNTTドコモなどの情報から、投稿された携帯電話が予備校生の母親名義で契約されていたことを確認した。予備校生は2日から一時所在不明となったが、3日昼に身柄を確保された。仙台市内の警察署で逮捕され、同日夜に京都府警川端署(京都市)へ移送された。