元祖アイドル太田幸司も「色が違う」佑ちゃんファンのインパクト

2011.02.07


もみくちゃにされる佑ちゃんの至るところに、熟女ファンの“魔の手”が伸びる【拡大】

 沖縄・名護で行われている日本ハムの春季キャンプは、ドラフト1位の斎藤佑樹投手(22)を巡るフィーバーぶりが、連日のように伝えられている。だが観客数だけをとってみれば、同じ沖縄で開催中の阪神のキャンプよりも少ない。斎藤本人も当惑気味の「佑ちゃんフィーバー」の根源には、人数の多さよりも特殊なファン層が生み出す特有の興奮があるようだ。(笹森倫)

 1日にキャンプインして、初めての日曜となる6日。球団発表による観客数は、このキャンプ最高の3000人に到達した。

 斎藤が練習メニューに合わせて移動するたびに、ファンも報道陣もぞろぞろと大移動。とにかく斎藤の体に触ろうと突進してくるファンが殺到し、昼過ぎには密集の中で女性が転倒するアクシデントも発生した。

 斎藤は「たくさんの人に見に来てもらってうれしい」と優等生発言を貫くが、あまりの混乱ぶりに、身の危険を「感じないと言ったらウソになる」と本音もポツリ。沖縄入りする前からある程度の覚悟はしていたが、「こんなに来てくれるとは思わなかった。(想像より)全然多いです」と驚く。

 首脳陣からも「このままだったら、そのうち大変なことが起こるんじゃないか」と、斎藤の身を案じる声が上がる。安全第一で、練習場と宿舎を車で送迎する方法もあるが、「1年目なんだし、あまり甘やかすのもよくない」との球団方針もあり、人混みの中を逃げるように足早で進む状況が続いている。球団側も人出の多さを想定して、警備スタッフの数は増やしているが、機能しているとは言い難い。

 実は、今回で33回目を迎えた名護キャンプが、史上空前の規模の客入りかといえば、決してそうではない。メジャー帰りの新庄剛志氏(39)が入団した2004年には、この日より1000人も多い4000人ものファンが集まったこともある。⇒【気がついたらアデランス…】

 07年時も、鳴り物入りで入団した中田翔内野手(21)を目当てに、日によっては今年のキャンプをしのぐ来場者があった。練習後、宿舎に戻る際には幾重にも人垣ができ、多少は混乱するケースもあったが、中田は何10分にもわたってサインや写真撮影に応じていた。

 またこの日は、名護から車で30分弱の距離にある宜野座村で行われている阪神キャンプに4500人が集まった。日本ハムより1500人も多かったが、整理券を配って金本、鳥谷ら主力のサイン会を実施。こうしたイベント以外で、サインは選手の自主性に任されているが、主砲の新井が30分近くペンを走らせた。来場者が多くても、斎藤の身の回りに漂うような、危険な雰囲気は感じられない。

 「佑ちゃんフィーバー」の特殊性について、元祖甲子園のアイドルはファン層の違いを指摘する。青森・三沢高のエースとして、女性ファンの熱狂的な支持を受けた、野球解説者の太田幸司氏(59)だ。

 この日、番組の収録でキャンプを訪れた太田氏も、近鉄入団1年目から宮崎・延岡での1軍キャンプに帯同。ファンの数自体は「僕のときのほうが多いんじゃないかな」と振り返るが、「僕のときは黄色い声援だったけど、(斎藤は)ファンの色が違う感じはするね」とも。同じ女性ファンでも、斎藤フィーバーの中核をなす年齢層はやや高めなのだ。

 選手の間から「斎藤のファンは韓流アイドルの追っかけみたい」と戸惑いの声が出るほど。ある若手選手は「高校球児の追っかけでも、ときどき熱心な女性ファンがいるけど、タイプが違う。ちょっと怖いくらいです」と舌を巻く。

 もともと札幌移転後の日本ハムは、財布のヒモを握っている女性客獲得を狙う営業方針を取ったこともあって、中高年の女性ファンの割合も他球団よりも多い。斎藤も危険を察知して、不本意ながらファンへのサインを自主規制する状況が続いている。

 太田氏は自らのフィーバーを振り返り、「自分は練習しているときが一番楽だった」と話す。熟年女性の濃厚な視線を浴び続ける斎藤も同じような心境だろうか。

 佑ちゃんフィーバーを支えているのは熟年女性ファンの熱狂。セールで商品を引っ張り合う姿をほうふつさせる…

 名護キャンプでの日本ハム・斎藤グッズの売り上げが好調だ。1番人気のTシャツは5日までに既に売り切れており、残りの携帯ストラップとサインボールもこの日の午前中で在庫がなくなった。

 球団は名護でキャンプを張る約1カ月間の分としてTシャツは600枚発注していたが、予想を大幅に上回る売れ行き。2番人気のダルビッシュのTシャツを大幅に上回る売れ行きだ。

 販売を担当する山岸宏次さんは「追加で発注するが、いつ入荷できるかは未定」とうれしい悲鳴を上げている。

 

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