2011年3月3日19時19分
京都大など4大学の入試問題がネット掲示板に試験中に投稿された事件で、京都府警は3日夕、任意で事情聴取していた仙台市在住の男子予備校生(19)について、受験した京都大の入試を投稿で妨害した疑いが強まったとして、偽計業務妨害容疑で逮捕し、発表した。予備校生は、府警の事情聴取に対し「一人でやった。反省している」と認めているという。
府警によると、予備校生は2月25、26両日にあった京都大の試験会場で、不正行為は禁止されていることを知りながら、携帯電話でネット掲示板「ヤフー知恵袋」に試験問題を投稿。試験中に掲示板を見た閲覧者から解答を得るなどして試験の公正を害したうえ、入学試験を混乱させて大学の業務を妨害した疑いがある。
府警の事情聴取に対し、予備校生は、投稿の経緯について「携帯電話を使って一人でやった」と説明。動機については「合格したかった」と話しているという。
これまでの調べでは、予備校生は大手予備校の仙台校に在籍。京都大のほか、いずれも2月に同志社大、立教大、早稲田大を受験。4大学の英語や数学の試験時間中に、母親名義で契約された携帯電話を使って試験問題を計12回、ネット掲示板に投稿していた。うち京都大の試験問題では、ネット上の「解答」とほぼ同一の答案もあったという。
在籍していた大手予備校仙台校は3日、予備校生の逮捕を受けて会見。同校によると、予備校生は担当講師に対し、大学入試センター試験で想定した点数が取れなかったことを明かして「どうしよう」「2次試験でがんばらないと」などと不安を漏らしていたという。
府警は今後、監督者がいる試験会場でネット投稿をした手口や、詳しい動機などについて解明を進めるものとみられる。
京都大は3日、捜査協力を進めるとして府警に被害届を提出。同大学の松本紘総長が同日午後、記者会見した。
松本氏は「今回の事件の全容はまだ判明していないが、受験生が試験時間中に試験問題の一部を投稿して不正行為を行った疑いが高く、厳正公正であるべき入試で、かかる事態が発生したことは誠に遺憾だ。一刻も早く全容解明がなされることを願う」などとコメントした。