【1月11日03時05分更新】
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◎パチンコ店の景品交換所 撤去の訴え13件 独占業者に「反旗」

 石川県内でパチンコ店を経営する複数の業者が昨年七月以降、「ダイヤ商事」の屋号で 景品交換業を営む中村直秀さん(84)=金沢市=を相手に、パチンコ店敷地内にある交 換所の撤去を求める訴えを金沢地裁に相次いで起こしている。提訴件数は十日までに十三 件に達しており、これまで県内の景品交換業務をほぼ独占的に担ってきた中村さんに、各 店が反旗を翻した格好となっている。同日、金沢地裁で二件の第一回口頭弁論があり、中 村さん側はいずれも請求棄却を求めた。

 十日に第一回口頭弁論があったのは、金沢市でパチンコ店を経営する大阪府堺市の業者 と、金沢市内の菓子販売会社がそれぞれ中村さんを訴えた二件。堺市の業者は中村さん側 に交換所の撤去と土地の明け渡しなどを請求。金沢市内の菓子販売会社は、同社が野々市 町内のパチンコ店を経営する業者から賃借し、中村さんに貸している交換所の引き渡しを 求めている。

 弁論では、中村さんの代理人が二件とも請求棄却を求める答弁書を陳述し、堺市の業者 には「賃貸借契約に基づき、賃借料を毎月支払っており、原告の主張は理由がない」など と主張した。弁論終了後、中村さんの代理人は「各パチンコ店は提訴について、行政当局 の指導があったとしている。理不尽に出て行けというのは通用しない」と話し、全面的に 争う姿勢を見せた。

 中村さんに対する相次ぐ訴訟の背景について、業界関係者は、新たな景品交換業者「ケ ンゼン」の存在が大きいと口をそろえる。金沢市や白山市、野々市町などで中村さんが景 品交換業務をほぼ独占してきたのに対し、金沢市内に景品交換業の新会社「ケンゼン」が 設立されたのは二〇〇〇年一月。同社設立に際しては、かねて業界の健全化を目指してい た県警が後押ししたとされ、実際、県警OBが「天下っていた時期もあった」(関係者) という。

 しかし、「業界の健全化」を掲げながら、パチンコ景品の流通を支えるのに必要な巨額 の運転資金を中村さんから借り入れていたことが発覚して、一時は経営が危ぶまれる時期 もあったとされる。

 ところが「高齢で健康面に不安がある中村さんの業界内での影響力が次第に薄れてきた 」(関係者)とされる中で、中村さんと長年取引していた福井県内の景品流通業者が昨年 八月、中村さんとの取引を全面停止したことから、各店が景品交換業者を相次いで「ケン ゼン」に変更。中村さんのダイヤ商事は一部の取引先を除き、昨年十一月、「一時休業」 を宣言していた。

 県警生活安全企画課は「行政当局の指導があった」とする中村さん側代理人の指摘に対 し、「特定業者の支援はしていない」とし、「ケンゼン」は「法廷で解決しなくてはなら ないのは残念だが、複雑な問題が絡み合ってこのような状態になったのだと思う」として いる。


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