2011年2月27日9時19分
犬は飼い主でない見知らぬ人の写真であっても、笑顔かどうかを見分けられることが麻布大の研究でわかった。ただし、飼い主と違う性別では成績が落ちる。犬がどのように進化してきたかを探る手がかりになるという。独動物認知学専門誌電子版で発表される。
麻布大獣医学部の菊水健史教授らは、スタンダードプードルとラブラドルレトリバー計5頭でまず飼い主の笑顔を見分ける訓練をした。笑顔と無表情の写真1組を並べて、犬に選ばせる。笑顔の写真を選んだらほめることを繰り返した。30回のテストで8割以上の成績を4度続けて出せるようにした。
次に、飼い主の別な写真10組と、初めて見る男性と女性の各10人の写真の計30組について、笑顔を選べるかどうか試した。その結果、飼い主なら訓練した写真と違っても、笑顔を選ぶ確率は5頭で平均82%。知らない人の写真でも、飼い主と同性であれば78%だった。いずれも統計的に偶然ではない成績という。だが、飼い主と性別が違う場合は62%に下がった。
表情は人間にとって意思疎通の重要な手段。笑顔が「うれしい」という感情を意味していることまで犬が理解しているかどうかはわからないが、表情を読み取る能力は身につけていると考えられるという。実験を担当した永沢美保特任助教は「口の形などを区別しているのではないか」と話す。(鍛治信太郎)
中東ニュースがわかりにくいのは、何事にも過去の経緯があるからです。最新ニュースをを理解するために知る必要がある用語や基礎知識を、中東駐在の川上編集委員が分かりやすく解説します。