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入試ネット投稿:「おとなしい子」関与可能性の予備校生

 京都大など4大学の入試問題が試験時間中にインターネットの掲示板に投稿された事件で、関与したとみられる仙台市在住の男子予備校生(19)の知人らは3日朝、「おとなしい子」「入試の不正なんてする子じゃない」と驚きの表情を見せた。山形県に在住する祖父(77)によると、予備校生と連絡が取れなくなり、同日朝に母親が祖父に「おとうさん、ごめん。おとうさん、ごめん」と言い残し捜しに出かけたという。「なんでこんなことになるのか……」。予備校の関係者が沈痛な表情で語った。

 ◇実家周辺

 男子予備校生が高校まで暮らしていた山形県内の実家には、祖父と祖母、母が3人で暮らす。祖父によると、予備校生は今春、早稲田大など二つの私大に合格し、京大の合格発表を待っていた。祖父は「とにかく驚いている。最後に会ったのは昨夏、1泊だけ帰省した時。友達と朝まで騒ぎ、翌日仙台に帰ったので、あまり話さなかった」と話した。

 近所の無職男性(74)は「おとなしい子で、会えば『こんにちは』とあいさつする程度の仲だった。中学ではバスケットと陸上をしていた。2月下旬ごろ早稲田に受かったと聞き、家族は喜んでいたのだが」。近所の主婦(75)は「2、3日前に早稲田大に受かったっておばあちゃんから聞いた。入試の不正なんてする子じゃない。一人っ子で可愛がって育てていたと思う」と話した。【浅妻博之】

 ◇母校

 男子予備校生が通っていた山形県立高校では雪が舞う中、午前7時過ぎから生徒が次々と登校した。

 2年男子(17)は「卒業生と聞きびっくりした」。校長は「昨年卒業し仙台市の予備校に通う男子生徒が京大を志望しているが、投稿に関与しているかは分からない。現役の時は早稲田大を受験した。自分の学校の生徒でないことを願う」と話した。【竹内良和、前田洋平】

 ◇予備校

 男子予備校生が通っていた仙台市青葉区の大手予備校には、早朝から大勢の報道陣が詰め掛けた。

 入試問題投稿事件について自習に訪れた男子(19)は「みんな一生懸命に正々堂々とやっているのに……。ずるをした人に負けることがないよう、試験の取り締まりはより一層厳しくしてほしい」と求めた。

 女子予備校生(19)も「ハイテク化でこういうカンニングが出てくるのは仕方ないので、取り締まりが厳しくなるのは妥当」と話した。

 仙台市内にある予備校の寮にも約30人の報道陣が集まった。受験生とみられる若者らは「何も知らないです」とだけ言って足早に去っていった。【鈴木一也、福永方人】

 ◇文科省や大学 対応に追われ

 大学入試の監督方法などを指導する文部科学省大学入試室では3日午前、同省幹部や関係者への報告に追われる職員が慌ただしく出入りした。担当者の一人は「予備校生が関与している疑いがあるという情報は報道で知った。事態がどのように進展するのか予測がつかないので、今は対応の取りようがない」と困惑した表情で話した。

 一方、試験問題が投稿された早稲田大、立教大は引き続き、不審な行動をした受験生の有無や答案用紙の調査など対応に追われた。

 立教大広報課は「投稿された内容と似ている答案があったかどうか、まだ特定できていない。捜査が進むのを待つしかない」と話した。【篠原成行】

毎日新聞 2011年3月3日 11時59分(最終更新 3月3日 12時29分)

 

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