KBC労組50周年パーティ

 九州朝日放送(KBC)労働組合が、今年結成五〇周年の迎えた、記念するパーティーが9月30日、福岡市内で開催され、労連本部や系列労組、九州地連内各単組などから二〇〇人が出席した。

 元沖縄大学教授でKBC労組五〇周年記念事業の壱岐一郎実行委員長が、「昨年、世間を賑わせたプロ野球界のコミッショナーと選手会の一大事は労働組合の役割を世間に伝えた。KBC労組も何となく似ている気がする。(中略)KBCが今日あるのは、権力に擦り寄ることなく、そして地域の方々の支えがあってのことで、感謝を忘れないでほしい」と、挨拶。
 労連本部・碓氷委員長は、「KBC労組の力の源泉は、青年部にある。96年のKBC労組の新人事制度・白紙撤回闘争で、福岡国際マラソン抗議行動を貫徹した力は、これからの民放労連運動の参考となる」と祝辞を述べた。

 また、会場では、「写真で振り返るKBC労組五〇周年」と題して過去の組合運動を写した写真を中心にまとめたVTRが上映され、古い写真が出るたびにOBやOGの皆さんは懐かしそうに見入っていた。
 55年に結成したKBC労組は、昇格差別や女性差別、不当配転などさまざまな会社からの攻撃を受けながらも、果敢に闘争を展開。70年代には、西鉄電車内で、緑色のビラを乗客に配り、社内をグリーンに染めるといったユニークな戦術を駆使した。
 また、92年、会社から提案されたいわゆる成果主義型の新人事制度を二年間の闘争で白紙撤回させるとともに、二度にわたる長期争議では地労委関与のもと勝利和解で解決させた。

 KBC労組山崎大亮委員長は、「パーティーは執行委員だけでなく、多くの組合員の方々の協力があって開催することができた。この力は組合の団結の賜物。また、KBC労組五〇年の歴史は、民放労連の仲間、地域の仲間たちの支えがあったからこそだと思う。過去のたたかいを継承し、教材として頑張っていきたい」と力強く挨拶をした。


Y&Yフェスティバル〜岩手・安比高原で開催

 9月23日〜25日にかけて、岩手県の安比高原にて「第7回青年協定期大会」と「第四一回Y&Yフェスティバル」が開催された。全国から約百人が参加し、「安比でハッピィー、わくわく新発見」と題し民放青年による新たな体験と交流を深めた。

 初日は「民放労連青年協議会第七回定期大会」を開催し、〇四年度の活動方針にもとづいた活動内容が報告されたのち、次期の青年協・常任役員の選任及び〇五年度の予算(案)について、出席者による拍手にて承認された。
 その後、来年開催が予定されている「セミナー二〇〇六」についての検討会を行った。
 参加者からも青年層の問題など貴重な意見を提案してもらい、有意義なセミナーにするための検討を今後すすめることとした。

 定期大会などを終えた後、安比高原リゾート主催の「秋華火」を見学、高原の空に広がる花火は都会で見る花火とは趣が違い迫力あるものだった。花火会場の近くには「屋台村」もでて、ちょっとしたお祭り気分が味わえた。
花火のあとは「中交流会」。この日初めてあった人、久しぶりにあった人、しそれぞれが思い思い交流を深め、長い夜を各々楽しんだ。

 二日目、午前中は今回の「Y&Yフェスティバル」のメインイベントである体験型イベントへ。開催地である安比高原をフルに生かし、体で感じるコースを九つ用意して、各自の安比高原を体感してもらった。
(@秋の秘湯安比温泉ハイキング、A秋を探しに草の湯ハイキング、Bパラグライダー、C自然の恵み=釣り&アウトドア料理、Dマウンテンバイク温泉&そば打ち、E癒しの森と安代のそば打ち、F陶芸&リラックスマッサージ、Gパークゴルフ&ゴンドラ、Hパークゴルフ&わくわく牧場体験)
 天候にも恵まれ、さらに思い出ぶかい体験ができたのではないかと実行委員会ともども受け止めている。
 イベントの後は、安比高原に「またぎ」として昔、生活をしていた晴山権次郎氏の=またぎの講演=をして頂いた。
 若いときの晴山氏をドキュメントでまとめたVTRを観たあと、「またぎ」の生活や狩猟の仕方など現代社会では想像しにくい貴重な話を聞くことができた。参加者からの素朴な疑問にも丁寧に応えていただいた。
 講演の後は、「Yフェス」恒例の大交流会。参加者をいくつかのテーブルに分け、まず、午前中に行ったイベントを代表者から報告してもらった。

 三日目、「Yフェス」最終日。移動も兼ねて岩手の町をバスで散策しながら最後のイベント「わんこそば」。食べるときの独特の給仕さんの掛け声「はいどんどん」「はいじゃんじゃん」のリズムにあわせて食べていくのであるが、初心者の人はなかなかこのリズムにのれず苦戦していて、あっけなく満腹となり終了。そんな中、今回の参加者で三人が百杯越えをして参加者から拍手で称えられ、「Yフェスin安比高原」が事故も無く満腹の中、終了した。
今回は初参加者が多かった事が特徴で、各職場に戻り、所属の組合や地連・労連のイベントに気楽に参加していただけるようになっていただければ幸いである。


KBS京都更生法11周年の夕べ

 会社更生法の下で再建闘争に取り組んでいる京都放送労組は、十一年前に更生法を申請した日と同じ9月22日、「更生法十一周年の集い」をKBSホールで開いた。市民や組合員約百人が参加してKBS京都の再建の現状と今後の課題、放送局のあり方などについてパネルディスカッション形式で意見を交わした。

 まず十一年間の再建の経過を古住書記長が説明。これを受けてパネラーからは、「更生法下でもベアをとり続け、定昇カットや社屋売却をはね返してきた。職場と生活・労働条件を守る闘いは見習うべき」(吉田一典近畿地連特別執行委員)、「十一年間に組合は、団結、市民とのつながり、政策能力の三つをさらに高めてきた。株買い占めで揺れたフジと比べKBSは、市民の見方、労組の存在感が大きく違う」(須藤春夫法政大教授・メディア総合研究所所長)といった意見が出た。

 会場の参加者からは、「経営者の判断ミスは大変な結果につながる。チェック機能は重要だ」(サンテレビ労組・吉田氏)、「職場にしっかり足を置いて取り組んだことがきちんと結果を生んでいる」(元京都総評副議長・小竹氏)、「いろいろな活動をしたがその根底のエネルギーは四十万人署名と地域の人の支援。それがあって現在がある」(京都放送労組・荒井組合員)などの発言があった。

 来年秋に予定される更生終結のあとの課題や展望について古住書記長は、「今後は名実ともに市民に開かれた放送局として再建を達成したい。そのために提言運動、視聴者運動を発展させる。同時に要求は萎縮せず、とるものはとっていく」と述べた。最後に須藤氏が「デジタル時代こそ市民の立場に立った活動が組合に求められる。KBSの番組は(株主の)KTVやフジのためではなく市民のためにある。これまでの経験を生かし全体的視野で外に向かい、労連全体の運動にしてほしい」と締めくくり、参加者はKBS京都の再建達成に向けて決意を新たにした。


全国各地で地連定期大会

9月に入り、各地連の定期大会が開かれている。衆議院選挙の投票日が9月11日になり、大会の日程を繰り下げた地連も出た。東北・北信越・東海・近畿・中四国の各地連は、9月3・4日に、北海道地連は16日、関東地連は17日、九州地連は17・18日、沖縄地連は20日。二〇〇五年度の組合活動がはじまった。

北海道地連
 北海道地連の第四二回定期大会は9月16日の夜、札幌市内で行われた。
 廣岡地連委員長が開会の口火を切り、藤岡地連書記長から報告の中で、この夏、TV北海道と札幌TVに労基署が突然、代休処理や、泊り勤務者の健康診断の点で改善指導がされたことが報告された。
 労連本部の松山書記次長からは「与党が三分の二を占めた衆院選挙の結果から、早くも増税や社会保険の負担増、そして憲法の改悪・報道機関を取り込む動きが出てきている。デジタル化問題とともに、こうした問題にも組合の力を発揮してほしい」と呼びかけた。

 大会には三組合から十三人の代議員が出席し、春夏闘争の特徴を報告した。北海道労組からは新処遇制度の試行期間に入って問題点を会社に正していきたいと、札幌TV労組からは目標評価制度が入って丸二年経過しての問題点を、また、一時金の算式から家族手当が段階的に削られる問題では、育児支援金制度の新設で合意したこと、11月スタートのラジオ分社化に関しては、出向規定を結ばせ身分・労働条件を保障させたこと、TV北海道労組からは、一時金交渉でストを配置し上積みを勝ち取った経過が報告された。

 地連からは、デジタル化スタートに向けた生活給を無視した人件費削減や労働条件の切下げを許さない支援体制づくりと、指定地方公共機関受託後も会社に代わる行政機関へのチェックなどを盛り込んだ方針など、全議案が採択された。また、来年5月札幌での、道内開催としては初めての民放労連「全国女性のつどい」成功に向けて、地連内の協力も確認された。

 来期の地連三役は、野津委員長(北海道放送労組)、山谷副委員長(テレビ北海道労組)、薮崎書記長(札幌テレビ労組)となった。

東北地連
 東北地連の第76回定期大会は9月3・4日、岩手県の安比高原で開催された。
 三浦地連委員長が開会にあたり「この安比高原で今月末、労連Y&Yフェスティバルが行われるが、その実行委委員会と重ねて定期大会を開くことにした。Yフェスを成功させて、労連・地連の運動も発展させよう」と挨拶した。
 大会はまず、秋田放送労組が構内の労組を一つにし組織を拡大する方針のもと、労連・地連を脱退した経過と再加盟の方針を持っていることが報告され、確認された。続いて、情勢の補強として、労連本部松山書記次長から労連定期大会の議論・報告の特徴が出された。

 議案の提案では、05年度地連三役が新しい顔ぶれになることもあって、05年度の立候補者が議案・方針をつくったことが強調され、「つながり、つなげる」をキャッチフレーズに、組織拡大と活性化の方針では▼地連ニュースの発行、▼組合執行部対象の「相談・勉強会」の開催、▼職種別情報交換会の開催、を提起した。七組合から九人の代議員参加ではあったが、春夏闘争のそれぞれの状況を報告しながら、「執行部のなり手の見つけ方」「賞与の支給回数の問題」「36協定の適正運用の仕方」「東京支社・組合員との意思疎通のはかり方」「家族手当に対する会社の姿勢」「指定地方公共機関化のとりくみ」など、議論は多岐にわたった。議案採決後に一年のとりくみの決意をこめ「大会アピール」を採択し閉会した。

 新役員は、次のとおり。
◇委員長  江幡平三郎(岩手放送労組)
◇副委員長 小野寺悠記(宮城テレビ労組)
◇書記長  高木 聰(東北放送労組)

関東地連
  関東地連の定期大会は9月17日、東京・市谷で開催され、新たに組合を結成したアクトファースト労組を始め、三十人の代議員が出席した。

 杉本地連委員長は、「総選挙で自民党は五一%の得票で三二七議席を獲得したが、新聞社説にもあるように、白紙委任ではないと考える。増税や憲法改正などの問題が出てくるだろう。また、放送関連産業では業界を志す若者が減少し、労働環境も厳しさを増しており、組織化が必要だ。労働組合の社会的責任を果たすためにがんばろう」と挨拶。
 碓氷労連委員長も「選挙での自民党圧勝の理由のひとつにメディア戦略の成功が言われている。郵政民営化を旗印にして、年金問題、税金問題、自衛隊のイラク派遣、憲法問題などを覆い隠してしまった。郵政問題と、放送のデジタル化には共通点がある。問題の光の部分が強調され、影の部分で起こる、社会的弱者切捨てが見過ごされていることだ。労働組合としてこの問題を見過ごしてはいけない」と挨拶した。

 討論では、テレビ神奈川労組から指定公共機関問題についての取り組み、ベア獲得に向けての闘争について報告が、千葉テレビ労組、日本テレビサービス労組からは成果主義賃金に対する取り組みについて報告があった。
 MXテレビ労組、文化放送労組からは、社屋移転問題、日本テレビビデオ労組からは、日本テレビ移転に伴う関連会社の問題について発言があった。また、地連の提起する「新しい団結体」について、放送スタッフユニオンの拡大や関連・プロダクション共闘の強化、構内の単一化、職能別ユニオンなどの課題があるとの意見が出された。
 議案は、全員賛成で採択され、役員選挙では杉本委員長(日本テレビ労組=再)、鈴木書記長(MXテレビ労組=再)はじめ全員が信任された。

北信越地連
 北信越地連の定期大会は、9月3日、4日の両日に福井市で開催された。
冒頭に三日市地連委員長が組合と視聴者の視点から民放産業のこれからをつくっていこうと開会あいさつ。つづいて労連本部の井戸書記長が総選挙の「小泉劇場」にメインステージを提供しているテレビの現状を批判、放送の社会的責任を果たそうと提起した。また先日、発足したばかりの北信越地連OB会から、八田世話人が来賓としてあいさつした。

 地連執行部から年間総括と新年度運動方針が提案された後、各単組が現状を報告。ベアゼロ打破を最重点に掲げて取り組んだ春闘では、北陸放送や新潟放送で久しぶりに有額ベアを獲得、北日本放送でも八年ぶりに前年比プラスの賃上げとなった。テレビ信州では腕章闘争に突入して、夏期一時金の上積みを勝ち取ったことが報告された。またパチンコ店からの出稿へ過度のの依存や、出稿の見返りにスポンサーの商品購入を迫られるといった地元営業の抱える問題点も報告された。

 二日目の自由討議では賃金制度のあり方について意見交換。長野朝日放送では職能給に相当する「ウェイト給」が、マイナス査定の場合に前年よりダウンする不利益変更がかなりの従業員に発生している。このケースを手がかりに、成果主義の問題点や対抗策が議論された。北陸放送労組からは成果主義の縮小に取り組み、目標面接制度やアナウンサーへの裁量労働適用を廃止させたことが報告された。

 大会は最後に高田委員長(北日本放送労組)、飛騨書記長(北陸放送労組)らの新年度の役員体制を選出、「連帯意識を高め、強い組織をつくろう」との大会アピールを採択して閉会した。

東海地連
 東海地連定期大会は9月10日、静岡市において開催され、六人の代議員が出席して行われた。来賓として東海MICの岸田実事務局長が出席、議長に名古屋東通労組・勝田代議員を選出した。

 労連本部の赤塚副委員長からは「11年のアナログ停波までにどれだけ普及するか、総務省が本腰を入れてきている。7月29日の=情報通信審議会、第二次中間答申=では、通信衛星やIPを使ってでもとの方針が打ち出されているが、そうなると中継局の計画との調整も必要。CATVも大事な役割を果たす。事業者団体(日本ケーブルテレビ連盟)は答申に対し拒否反応を示しているそうで、成行きが注目される」とデジタル化の状況を説明した。

 来賓の岸田事務局長は「戦後六十年を迎えて、戦争の風化をどう食い止めていくか、労働組合の役割が重要である。8・15平和集会を名古屋で開催したが、高遠菜穂子さんの講演に若い人が中心に百八十人が集まり、新しい層へ確信をもって広げていくことの必要性を感じた」との報告があった。
 各組合から活動報告が行われ「36協定」「ベア獲得」について活発な議論が行われた。また、組織拡大などで、放送スタッフユニオンの櫛田稔氏の力を借りたいと一年間の顧問委託の提案が出され、全議案が採択され終了した。新三役は宮崎委員長(静岡朝日テレビ労組)諏訪副委員長(名古屋東通労組)植松書記長(静岡第一テレビ労組)が再任された。

近畿地連
 近畿地連の第四八回定期大会は九月三日、四日の両日、京都市で開催された。 冒頭、沢田委員長は「11年アナログ波停止の問題、通信と放送の融合の問題、選挙後に出てくる憲法改正問題など、この一年の取り組みを多面的に議論できればいいと思う。安部さんの職場復帰も勝ち取っていきたい」と挨拶。
 労連の岩田副委員長からは「労働組合の役割、果たすべきことが求められている。組合員にもやるべきことをしていかないと信頼を得られない状況になっていく。今までと違う世の中にしていこうとする動きが強まっているが、どう把握していくのかが大きな意味を持つのではないか」と挨拶した。二日目には、来賓として関西MIC伊藤明弘事務局次長からの連帯の挨拶もあった。

 討論では、指定地方公共機関について京都放送労組から、組合との合意なしに承諾しないとの確認が反古にされ、抗議行動を行ったが、今後も承諾の撤回を求めて闘っていく、憲法改正問題については市民・視聴者と一緒になって取り組んでいることが報告された。デジタル化問題ではサンテレビ労組から、昨年十二月からデジタル化をスタートさせたがHD機材もなく、アナログサイマル完全アップコン状態で放送しているとの報告があり、広域U局にとっても、まだまだ問題が山積している状況が報告された。SE争議では、近畿地区労組と朝日放送労組から中央労働委員会での状況などが報告された。

 大阪東通労組からは、東通の不当労働行為について九月中にも地労委命令が出る予定、また、労基法違反を逆手にとった会社の改悪実施は許さないとの決意がのべられた。
 また、ラジオ大阪労組からは「労連会費について、引き下げの余地があると思うので、地連からも働き掛けが出来ないものか」との発言があった。

 二日目の投票によって、特別執行委員の扱いについて規約改定が承認され、次期役員選挙では、澤田委員長(毎日放送労組)、吉田書記長(読売テレビ労組)をはじめ、全員が信任された。

中四国地連
 中四国地連の第79回定期大会は、9月3日、4日の両日、徳島市で開催された。 村上地連委員長は「地連大会の場に集まったのも何かの縁で、出会うべき人に出会っている気がする。執行部は組合員との意思疎通が重要で、執行部が突っ走らないように。また、単組の情報が地連に集約され、単組にフィードバックすることが地連の重要な機能。各労組の協力を」と挨拶。
 本部の碓氷委員長は「総選挙の争点とされている郵政の民営化問題と、地上放送のデジタル化には、いくつかの共通点が見える。光の部分は強調されるが、過疎地域や社会的弱者の切捨てという影の部分の問題が大きい。労働組合としてセーフティネットを考えることが必要」と挨拶した。
 来賓の全徳島新聞労組の高村書記長は、全国の新聞社ですすんでいる印刷部門などの別会社化の現状を報告、共闘を呼びかけた。

 春夏闘では、広島テレビ、愛媛朝日、南海放送の労組でベアを引き出した一方で、テレビ山口、四国放送では手当カットの回答があった。しかし腕章闘争などで粘り強くたたかい、一部を回復させることができた。一時金もほとんどの労組で昨年実績以上を獲得した。
 デジタル化をめぐる情勢は、各局とも放送設備、営放システムの導入に向けて準備が進められており、一部の局ではすでに新設備への切り替えも行われている。しかし新設備のテストや習熟訓練などで社員だけでなく派遣社員や業務委託先の従業員にも時間外勤務や休日出勤が発生している現状が報告された。高知放送労組からは、「事故なく病気なく働けるデジタル化」をキイワードに、対応・体制の充実を要求していることが報告された。

 新役員は、村上浩二委員長(南海放送労組=再)、細川善隆書記長(広島テレビ労組=再)はじめ全員が信任された。また労連の前書記長の羽原幹夫さんが顧問に選ばれた。

九州地連
 9月17、18日、九州地連第四八回定期大会が鹿児島市内で開かれた。「職場に労働組合を」「視聴者・聴取者とともに考え、ともに動く、開かれた放送を確立しよう」「放送人としての真価を発揮して、平和で安全な社会を実現しよう」など五本のスローガンに代議員三四人(来賓、傍聴、実行委員を含めると延べ一四〇人)が出席し熱気ある大会となった。

 初日、来賓の新聞労連九州地連、国労鹿児島支部から挨拶をいただき、労連本部からは井戸書記長の参加があった。
 大会は、議案提案、討論と進められ、その後、鹿児島大学・坂東義雄教授を招き「憲法改正運動の背景とマスコミ労働者の責任」と題した記念講演を聞いた。同氏は、自民党が改憲で目指す重点項目として@九条を戦争放棄から戦争実施へ、A人権規定の「公共の福祉」の概念を「公益と公の秩序」によって制限、B憲法改正手続きの簡素化、の三つを挙げ、人権より国益を優先する方向へ向かおうとしていて、非常に危険な状況であるとし、今こそマスコミが自民党の憲法改正の本質を自らの倫理で主体的に報道すべきだと述べた。
 討論の中でも、放送局の「指定地方公共機関」受諾についての報告があり、TOS労組から、受諾撤回を組合で要求していると報告、地連での受諾撤回への取り組みを確認した。

 また、今大会では結成間もない「TNCプロジェクト労組」から前屋敷委員長が参加し「組合が出来てそれぞれの労働者の悩みが判った。会社と誠実な団交が行われるよう頑張ります」と意気込みを述べた。
 その他にもベア要求の意義や成果主義・新人事賃金制度の報告など白熱した議論が行われた。採決では、すべての議案が満場一致で可決、最後に地連新執行部の大串委員長・道岡書記長ら全てが新任された。最後に大会宣言を確認し、団結を誓った。

沖縄地連
 沖縄地連は9月20日、琉球放送労組事務所で第三一回定期大会を開催、04年度の活動総括と新年度の運動方針を決定、四役・役員を選出した。

 連帯挨拶で労連本部の井戸書記長は、衆院選について振り返り、郵政民営化の是非・党内分裂騒動など、「小泉劇場」にステージを提供した民放各局にメディアとしての在り方が問われる、などと指摘。また指定地方公共機関に反対する沖縄地連の取り組みに期待を寄せた。

 新年度の運動方針として、今後懸念されるデジタル化投資を理由にした経営の圧力には、加盟単組の情報収集と意見交換を進め対抗していくことや、活力ある沖縄地連を目指すことなどが確認された。
 また、新委員長には登川隆氏(琉球放送労組)を、書記長には宮城歓氏(沖縄テレビ労組)を再任した。
戦争の悲惨な記憶や、巨大な米軍基地が存在するだけに、沖縄では指定公共機関問題は切実な課題になっている。
 登川新委員長は、「指定地方公共機関については、引き続き県・経営の動向に注視するとともに、各労組の役員が中心となって、一般組合員にも問題点をさらに浸透させ、受諾拒否に向け、頑張りたい」と抱負を述べた。