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2月の下旬は、教員採用試験を受ける学生の、小論文の添削をしていました。しょっちゅう指摘したことについて書いておきます。
まず、言葉の単純な削除・置換で済むケースについて。
[1] あいまい語を使うな
「〜に繋がる」「〜に影響する」「〜に関連する」といった言葉は、すぱっと言い切れる場合がほとんどです。
「テレビの見すぎが視力の低下に繋がる」→「テレビの見すぎで視力が低下する」
[2] 「〜のである。」は無条件で削れ
無意味な言葉なのに、4文字も増えてしまいます。削ってください。
「テレビの見すぎで視力が低下するのである」→「テレビの見すぎで視力が低下する」
[3] 「〜AやBは」が、A≒Bならどちらかを削れ
並列しているのに、実際はほとんど同じ、というケースがよくあります。一方を削りましょう。
「他人に親切にしたり、人を尊重したりする態度を身につけさせたい」→「他人に親切にする態度を身につけさせたい」
削っていいか心配になったら、削ったあとの文章を1万人が読み、「あれ? Aだけ? Bが抜けてない?」と言う人が何人いるか想像してください。めったにいませんよ。
(あるいは次のように考えてください。AでないのにBであるとか、AなのにBでないケースなど、ごく稀ではないですか?)
「〜指導する」→「〜導く」 「〜教育する」→「〜教える」など。
次に、内容に関わるものについて。
[5] 「正論」だけではなく、それが成り立ちにくい「現実」についても書け
たとえば「生徒一人一人の個性を伸ばせるように、教員は普段から生徒のことをいろんな角度からよく見るべきだ」というのは正論ですが、その正論がコストなしでできるなら、とっくの昔にみんなやってます。その正論が成り立ちにくい現実というものがあるはずなので、それについても書いてください。そうすると「理想論を振り回す融通のきかない人」という印象が薄れます。
「生徒一人一人の個性を伸ばせるように、教員は普段から生徒のことをいろんな角度からよく見るべきだ」→「生徒一人一人の個性を伸ばせるように、教員は普段から生徒のことをいろんな角度からよく見るべきだ。だが現場では、どうしても目の行き届かない部分もあるだろう。そこで〜」
[6] 「○○な現代社会では〜」は本当に現代社会のみにあてはまるときに書け
「変化の激しい現代社会」「若者が未来に希望を持てない現代社会」「現代では無気力な生徒が増えており」・・・それってホントに現代だけの社会現象ですか? 20年前の学生も、20年後の学生もそう書くんじゃないですか? 「学校裏サイトの存在」や「SNSの流行」など、本当に昔にはなかったものについてのみ、書くようにしてください。
[7] 「○○をするべき」という主張には、個人的なエピソードも付け加えるとベター
「小さなことでも子供を褒めるべき」と書くだけなら誰でもできます。あなたはその理想を現実化させるために行動できる人だということを示してください。そうすれば他の人ではなく、特にあなたを合格させる理由になります。
「自分も子供のころ〜という経験があって嬉しかった」「そこでそれ以来、小さなことでも他人を褒めるようにした。たとえばボランティアで小学校に行ったとき〜」といったように。
私も似たようなことやるので共感できます。
特に曖昧な語。文量少ないんだから、程度の差を書いている場合じゃない。
別にいつもこのルール守れとは言わないんだ。
ただ、選考では情報量多く書くに越した事ないんだから、節約と強調の仕方考えろと。
まぁでも分かっている人でも、使い分ける意識が薄くなると時々ドキッとしますから。
こういうことは学生だけでなく、みんな確認するに越した事はありませんね。
ブラウザのタイトルバーに反映されていないのは仕様ですか?
いい文章でしたのでこのページを保存させて頂いたのですが
その際にファイル名を付け直す必要があり少々不便に感じました。
最初は「誤字・脱字」がいちばん多いかな? と思っていたのですが、それは意外と少なかったです。(平均で800文字に1つ程度)
通りすがり様、いちおうブログのタイトルも修正しましたが、IEではファイルとして保存するとき、やっぱり「らいおんの隠れ家」にしかなりませんので、これは仕様と思います。
マニュアル化しておいたら?
何度指摘させんねんってのが減るかも
自分は手分けして採点した一員でして、小論文の書き方を授業内で指導する人は別におりますので、その方が指導しているかと思います・・・。
大仰な回りくどい表現をされたり、具体性の無い話を並べられると話を理解する気も掘り下げる気も失せます。
結果、必要な時間や量が増える割には中身が薄く、分かりにくくなるとは無残です。
まるで、授業のレジュメやノートを再構成したものを読んでいるかのようで、途中からニヤニヤしてしまいました。
別々の先生がまったく同じことを指摘されているのを見聞きすると、得てして印象に残るものですが、まさにいま、その状態です。すなおに受け止められるからなのでしょうか。復習効果以上のものがあります。
授業では口すっぱく指導されているので、学生側の手元にも、当然、このような内容は箇条書きで文章化されています。
しかし、短時間の試験形式で書き上げるとなると、どうしても悪癖が隠し切れません。課題形式の場合は、ゆっくり推敲すればよいのですが。
一度書き上げたことのあるテーマなら余裕もでき、推敲にかけられる時間も増えますので、やはり、練習は大事ですね(ここまで書いて、書き上げた文を読み返してみたら、複数個所で[3]のような表現をしていました。精進しなければ)。
スポーツ選手がフォームを修正していくプロセスに似たものを感じます。
大学5年生様、ありがとうございます。学生の小論文は、わずか数回の課題を書かせるだけで、見違えるように良くなる人が多いです。うらやましいです・・・。
どうでもいいけど様、いつもクイズを読んでいただいているようでうれしいです。また拙文についてのコメント、感謝です。貴重なご意見として承りました。
>「他人に親切にしたり、人を尊重する態度を身につけさせたい」
誤用の文に関する指摘で恐縮です。「〜たり」は、「〜たり、〜たり」と対応付けて2つ用いるのが正確です。例を挙げると話に具体性が出るので、私はそこまで悪くないと思いますけどね。文字スペースの関係上と言われれば、それまでですが。
以上、失礼しました。