3月に「火の海」脅迫の北朝鮮、4月は変わる?

南北米中、対話を目指した水面下での動き

 北朝鮮の労働新聞は2日付けで「現在は(南北双方が)軍事行動を自重し、対話の雰囲気を造成するよう力を入れるべき時だ」と主張した。また1日も複数の国営メディアが合営投資委員会の外資担当者の言葉として「外国人が投資した資産は安全だ」「金滉植(キム・ファンシク)首相による“吸収統一は絶対に考えない”という発言は必ず実践され、証明されなければならない」などと報じた。

 一方で北朝鮮は、最近行われている韓米合同軍事演習「キーリゾルブ」に対する非難も強めている。例えば、板門店代表部は「ソウルを火の海にする」と発言し、労働新聞も「核戦争」といった過激な用語を何度も使っている。北朝鮮外務省は1日に発表した談話で「物理的対応が避けられない状況になっている」と脅迫する一方で、「対話の準備も整っている」と表明した。北朝鮮によるこれらの相反するメッセージについて、韓国政府の安全保障関連部処(省庁)当局者は「中東の反政府デモや韓米合同軍事演習が重なっている今の状況では、北朝鮮は過激な言葉で挑発を続けながらも、対話の綱も手放すことができない。これは北朝鮮の悩みだろう」と述べた。

 韓国政府も、北朝鮮を追い詰めるつもりはない。李明博(イ・ミョンバク)大統領は三・一節(独立運動記念日)記念行事での演説で「北朝鮮とはいつでも対話をする準備ができている」と述べた。北朝鮮へのビラ飛ばしを半ば認めている韓国軍も、最近は慎重な態度を取っているようだ。大統領府の関係者は「南北双方とも、3月を乗り切ることが重要だ。韓米合同軍事演習「フォールイーグル」が終了し、哨戒艦『天安』爆沈から1年となる26日がヤマになるだろう」などと語った。さらに国家安保戦略研究所の南成旭(ナム・ソンウク)所長も「挑発と対話が共存する3月は、とにかく何事もなく乗り切ることが最優先だ」と指摘している。

 韓国政府の関係者は「4月になれば、北朝鮮は春窮期(前年の食糧を食べ尽くす、春の端境期)を迎え、韓国では再選挙や補欠選挙が行われる」との点を指摘し、これを受けて東国大学のキム・ヨンヒョン教授は「3月さえ乗り切れば、4月には南北双方共に対話の局面が必要となる可能性が高い」と予想している。

 米中両国も、南北間の緊張が高まることを望んではいない。両国は今年1月に米国ワシントンで開催された首脳会談の際、韓半島(朝鮮半島)での緊張の高まりを最小限に抑えることで合意したと言われている。米国務省のスタインバーグ副長官は米中首脳会談の結果を韓国政府に説明する際、南北対話の必要性も同時に強調した。中国も北朝鮮を対話の席に引き出すため努力している。先月10日に南北軍事実務会談が決裂して以降、中国は孟建柱・公安部長と外務省商務部の張志軍部長を北朝鮮に派遣し、6カ国協議の再開について話し合った。

 先月末に韓国政府は外交通商部(省に相当)の魏聖洛(ウィ・ソンラク)韓半島平和交渉本部長と大統領府(青瓦台)外交安保首席室の金泰孝(キム・テヒョ)対外戦略秘書官を米国に派遣し、哨戒艦爆沈と延坪島砲撃問題の解決に向けた政府としての原則を守りながら、6カ国協議を再開する問題について話し合った。韓国政府筋は「北朝鮮と水面下の交渉を行う国家情報院の海外チャネルが動いている。これらを通じ、南北双方とも緊張が一定レベル以上に高まらないようにすることで、意見を交換し合っていると聞いている」と述べた。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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