兵庫県立考古博物館(播磨町大中)は2日、朝来市和田山町平野にある県内で4番目に大きい前方後円墳「池田古墳」(全長141メートル)で、完全な形の水鳥形埴輪1体が全国で初めて見つかった、と発表した。これまでに発掘された鳥形の埴輪は計23体となり、一つの古墳から見つかった数としては全国最多。
完全形の埴輪は高さ48センチ、幅21センチ、長さ44センチ。土台の上に作られており、土台部分を埋めて飾っていたらしい。くちばしの鼻の穴や羽毛の線、折りたたんだ翼の形状まで、極めて精巧に作られており、ほかの埴輪と一線を画している。また、土の色が円筒埴輪や家形埴輪と違って茶色っぽい。
発掘に当たった同博物館の渡辺昇学芸委員は「黒雲母などが含まれていることなどから、但馬で作られたものではない。巣山古墳(奈良県葛城市)で見つかった水鳥形の埴輪とよく似ており、中央で作って但馬に運んだのでは」と推測している。(三上彰規)
【高橋克寿花園大学文学部教授の話】 水鳥や家、盾、船などの埴輪は一流のもの。大和河内から直接運ばれたか、そこの技術者が携わったものに違いなく、池田古墳の重要性は高い。
(2011/03/02 21:32)
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