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きょうのコラム「時鐘」 2011年3月3日
算数では1と2を足すと3になる。国語では漢字の三は一と二の合体だという。一と二が先にあって三の字が生まれた。きょう三月三日の、ささやかな言葉遊びだ
「6次産業」との言葉が広がり始めた。生産の1次、加工の2次、流通販売の3次産業の1、2、3を足しても掛けても6になるから生まれた造語だ。単なる言葉遊びではなくて今月から農業者らの加工・販売分野への参入を促す6次産業化法がスタートした 農業が「もうかる産業」に脱皮することに異論はない。だが、北陸でも生産と加工や流通を手がける農家は既に存在している。これを1・5次産業と呼んだ。中途半端な呼び方だったせいか6次産業の前に影が薄くなった しかし、法律が誕生して農業の実態が急変するわけではない。むしろ日本の農業を激変させかねないとされるTPP(環太平洋連携協定)問題が控えている中で、言葉だけが注目される傾向には違和感がある きょうは3が重なる桃の節句。思い起こしたい。1次、2次がしっかりしてこその3次であることを。「6次産業」が官製の言葉遊びにならないよう祈りたい。 |