2011年1月25日 19時20分
【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は25日、最新の世界経済見通しを公表した。「10年後半の経済は先進国、新興国とも予想以上に力強かった」とした上で、11年の世界経済の実質成長率を4.4%と予想、前回予想(昨年10月時点)から0.2ポイント上方修正した。
量的緩和の拡大やブッシュ減税の延長などで景気刺激策を取る米国の実質成長率を3.0%と、前回予想から0.7ポイント引き上げたほか、日本も1.6%と0.1ポイント上方修正した。一方、新興国では、中国が9.6%、インドが8.4%と、前回の成長率見通しを据え置いた。
11年の世界経済全体の概況について、IMFは「先進国の回復は引き続き緩慢で、失業率の高止まりも続いている」と指摘。一方で新興国については「経済の上昇基調が保たれ、インフレ圧力が強まっている」と分析し、先進国と新興国で成長度合いが二極化しているとの認識を示した。
世界経済の先行きリスクに関しては、欧州で広がる財政不安や金融機関の不良債権問題を「下振れ懸念を強める要因」と警戒した。
また、日米両国を名指しして「中期的な財政の持続性確保が困難」と指摘。財政健全化に向けた現実的な計画の策定を求めている。
◆IMFの経済成長率見通し◆
11年 12年
世界全体 4.4(0.2) 4.5(0.0)
米国 3.0(0.7) 2.7(▼0.3)
日本 1.6(0.1) 1.8(▼0.2)
ユーロ圏 1.5(0.0) 1.7(▼0.1)
中国 9.6(0.0) 9.5(0.0)
インド 8.4(0.0) 8.0(0.0)
ブラジル 4.5(0.4) 4.1(0.0)
※単位%。▼はマイナス。カッコ内は昨年10月時点の見通しからの修正幅。