2011年1月24日 21時57分 更新:1月25日 1時19分
幼稚園と保育所を13年度から「こども園」に移行させる「幼保一体化」に関し、政府は24日、すべての施設をこども園に一本化することを見送り、幼稚園と保育所の存続を認める案をまとめた。こども園と幼稚園、保育所の3種類の施設が併存することになるが、政府はこども園を補助金などで優遇し、事業者がこども園に移りやすくなるよう促す。移行期限の明示は見送った。政府は24日開会の通常国会に関連法案の提出を目指している。
政府案は同日の子ども・子育て新システム検討会議ワーキングチーム(WT)で提示された。現在、幼稚園は文部科学省所管の「教育機関」、保育所は厚生労働省所管の「児童福祉施設」と位置づけられ、所管官庁が分かれている。少子化の影響で多くの幼稚園が定員割れを起こす一方、保育所に入れない待機児童が深刻化。幼保一体化は、幼稚園に保育機能を持たせて待機児童の解消を目指すものだ。
政府は当初、10年ですべての幼稚園、保育所をこども園に統合する方針を示していたが、幼稚園側が「建学の精神が生かせない」として強く反発。政府はこうした声に配慮し、幼稚園の存続も認める姿勢に転じた。
一方で政府は、幼稚園に対する私学助成と保育所への保育所運営費をやめ「幼保一体給付」に一本化。さらに、こども園に対しては補助金を増額し、幼稚園や保育所がこども園に移るよう政策的に誘導する。ただ、補助金をどれだけ増額するかなど具体的な制度設計はこれから。幼稚園がどれだけこども園に移行し、待機児童受け入れの受け皿になるかは、現時点では不透明な要素が多い。
政府はこのほか、3種類の施設について、利用者との契約方法についても統一を図る。現在、保育所は市区町村と契約して施設のあっせんを受けているが、幼稚園のように各施設に直接申し込む「直接契約」を原則とする。ただ、待機児童の多い地域や虐待を受けている子どもなど、受け入れ優先順位の決定が必要になる場合は、市区町村が調整する。【山田夢留】