パレスチナ:自治政府外交文書流出 イスラエルに大幅譲歩

2011年1月24日 10時50分 更新:1月24日 12時39分

東エルサレムの位置
東エルサレムの位置

 【エルサレム花岡洋二】パレスチナ自治政府の外交文書が1600件以上流出、中東の衛星放送アルジャジーラが入手して23日から報じ始めた。文書では自治政府が08年、「首都」として国家樹立を目指しているはずの東エルサレムで、ユダヤ人入植地を容認するなど、対立するイスラエルに大幅に譲歩する案を示していた。パレスチナ国家樹立を後押しする欧米など国際社会の意思にも反する提案で、住民やアラブ諸国が反発、自治政府のアッバス政権が苦境に追い込まれる可能性がある。

 内部告発サイト「ウィキリークス」の米公電暴露に続く大型の外交文書漏えいで、情報流出で政権を揺さぶる構図が繰り返された。

 アルジャジーラは今回、中東和平交渉などを巡り99~10年に作成された議事録など外交文書を複数の情報源から入手。数日をかけて全容を報じる。ウィキリークスにも協力した英ガーディアン紙とも事前に文書を共有し、両者が文書の真偽を確認したという。

 パレスチナ側は「偽物だ」と否定した。

 大幅な譲歩が明らかになったのはイスラエルのオルメルト前政権(06~09年)との交渉内容。それによると、東エルサレムに関して最終的に入植地をほぼすべてイスラエル領土と認めることを提案。さらにパレスチナ難民の帰還権を限定する案を示した。イスラエル建国(48年)などで故郷を追われたパレスチナ難民は現在、470万人以上いるが、イスラエルが10年がかりで計10万人受け入れるという内容。自治政府は公式には全員に帰還権があるとの立場を崩したことはない。

 二つの譲歩案に対し、イスラエル側はさらに、自治区ヨルダン川西岸内の大規模入植地の譲渡も要求したため、交渉は成立しなかったという。

 ◇東エルサレム

 イスラエルが第3次中東戦争(67年)で占領、併合したエルサレムの東半分。パレスチナ自治政府は東エルサレムを将来の独立国家の首都に想定しているが、イスラエルはエルサレム全域を「永久不可分の首都」と主張している。自治政府と国際社会は、東エルサレムへのユダヤ人移住は占領地への「入植」で国際法違反だとみなしている。旧市街にはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地が集中しており、この帰属を巡る争いが問題を複雑にしている。

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