2011年1月24日 10時18分 更新:1月24日 13時56分
【カイロ和田浩明】チュニジアの警察当局は23日、亡命したベンアリ前大統領の親族で民間テレビ局の経営者ら2人を国家反逆容疑で逮捕し、顧問2人を自宅監禁下に置いた。国営TAP通信が報じた。一方、首都チュニスにはガンヌーシ首相ら旧政権から残る閣僚の辞任を求めて地方都市の住民らが集結し、数千人規模のデモを展開した。
逮捕されたのは「ハンニバルTV」を経営するラルビ・ナスリ容疑者とその息子。「(ベンアリ)独裁政権の復活を支援する放送」を行った疑いが持たれている。同テレビ局の放送も禁じられたため、「民主化に逆行する措置」との批判も出ている。自宅監禁となったのは、カレル元内相やベンディア前顧問。ベンアリ氏の独裁政権を積極的に支えた存在として知られる。
チュニスでは、17日に発足したばかりの暫定政権の総辞職を求めるデモが続く。ベンアリ政権崩壊の引き金となった若者の焼身自殺が起きた中部シディブジドの住民も首都での抗議活動に加わった。
主要経済都市スファクスでも全国労働組合組織「UGTT」などが組織したデモが先週から断続的に続いている。スファクス支部のサミール・シェフィ執行委員は、与党・立憲民主連合(RCD)党員の排除や政治犯釈放などの要求を受け入れさせるため、ゼネストの実施を提案する意向であることを明らかにした。「過去の繰り返しを避けるため、徹底した旧勢力排除が必要」と主張。「RCDを除くと国家運営に慣れた人材層が薄い」との西側諸国の懸念には「専門家は十分おり、根拠のない話だ」と述べた。
デモに参加した人権派女性弁護士、デクラメット・マータルさん(36)も「頭(ベンアリ前大統領)がなくなっても、体(RCD)が残れば変化が定着しない」と訴えた。
フランス語教師のムハンマド・ハムザウィさん(60)は、「警察から自宅に麻薬を置かれ、そのために有罪判決を受け1年間投獄された」と話す。拘束中、当局のスパイになるよう強要されたこともあるという。国連人権高等弁務官事務所のピレイ高等弁務官は先週、前大統領について「在任中に人権侵害があった」として法の裁きを受けるべきだとの考えを示し、政変で100人以上の死者が出たと述べていた。