2011年1月24日 1時29分
国営諫早湾干拓事業(諫干)の開門問題で、鹿野道彦農相は23日、地元の長崎県諫早市役所で、開門に反対する中村法道知事と会談した。開門を命じた福岡高裁判決を菅直人首相が受け入れたことに理解を求める農相に対し、開門反対の中村知事は「地域の実情を理解していない」と猛反発。協議は物別れに終わった。
会談には市民ら約140人も出席し、諫干営農者や県議、市議ら開門反対派が多数を占めた。知事は当初、農相からの会談の申し入れを拒否していたが、首相に提出した公開質問に回答してもらおうと応じた。
会談で、農相は「政府が総合的に検討し(開門を)判断した。防災などに配慮し、みなさまの理解を得たい」と説明。地元に相談なく上告を断念したことについて「事前の説明がなく申し訳ない」と何度も陳謝した。
これに対し、中村知事は「調整池に海水が入ると干拓地の農業用水が使えなくなる。具体的な対策なしに開門協議には応じられない」と反発。農相が「代替水源は5月のアセスメントの中間報告後に具体的に決めたい」などと県の公開質問に答えない場面では、場内から「それなら帰れ」の怒声も飛び出した。
その後の会見で、農相は「長崎の声は首相に伝える。粘り強く理解を得られるように頑張りたい」と語った。県は今月中にも出される公開質問状の回答を待って今後の対応を検討する方針。【柳瀬成一郎】