2011年1月23日 15時12分 更新:1月24日 2時29分
宮崎県は23日、同県新富町(しんとみちょう)の採卵鶏農場で死んだ鶏20羽が見つかり、遺伝子検査の結果、6羽のうち5羽で高病原性の鳥インフルエンザ「H5亜型」ウイルスを検出したと発表した。今年の宮崎県での感染は、宮崎市佐土原町に続いて2例目。県は23日夜から、この農場と隣接農場で飼育されている約41万羽の殺処分を始めた。
2例目の発生を受け、農水省は23日夜に対策本部の会合を開くとともに、松木謙公政務官を宮崎県に再度派遣した。河野俊嗣知事は政府に自衛隊の派遣を要請する考えを示した。
県によると、鶏の死骸が見つかった採卵鶏農場は、宮崎市の発生農場の北東約8.5キロにあり、20羽は23日朝、12棟ある鶏舎のうち最北西にある鶏舎の中央付近で死んでいるのが見つかった。
県はこの農場から半径10キロを新たに移動制限区域に設定。区域内にある96農場の約315万羽と、1例目の区域内にある46農場の約150万羽について異常がないかを調べる。
2例目の農場は8組合員で養鶏団地を構成。計約41万羽が12棟で飼育されている。持ち主はこのうち2棟で6万6000羽を飼育しているが、遺伝子検査で感染が確認されたことや、国との協議で他の10棟も関連農場とみなすことにしたため、約41万羽すべてを殺処分することになった。これにより、宮崎県で鳥インフルエンザが前回発生した07年の約19万8000羽を大きく上回ることになった。
養鶏団地は、採算性向上のため、飼料購入やふんの処理、採卵に共同で取り組んでいる。鶏舎は開放型の高床式で、鶏は2羽ずつ3段重ねの金網のかごの中で飼育されている。【石田宗久、阿部義正】
一方、1例目となった宮崎市の発生養鶏場の鶏舎の防鳥ネットには数カ所の穴があったことが23日、農林水産省などの調査で分かった。鶏舎内でネズミも見かけたという。
さらに、この養鶏場で死んだ鶏の死骸と、2例目となった同県新富町の発生養鶏場で死んだ鶏の死骸は、同じ業者が回収していたことも判明。農水省は二つの養鶏場を結びつける事実として注目しており、この業者の他の回収先についても調べる。【佐藤浩】