2011年1月22日 14時39分 更新:1月22日 19時0分
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日午後2時37分、鹿児島県・種子島宇宙センターから、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送する無人補給機HTV(愛称・こうのとり)2号を搭載した国産大型ロケット「H2B」2号機を打ち上げた。約15分後、こうのとり2号を予定の軌道に乗せ、打ち上げは成功した。H2Bの成功は09年9月以来2機連続。
こうのとり2号には、ISSに滞在する宇宙飛行士の食料や生活用品、日本の実験棟「きぼう」で使う実験機器、種子島の水道水から精製した飲料水80キロなどが積み込まれている。
高度200~300キロの地球周回軌道から徐々に高度を上げてISS(高度約350キロ)に接近。28日、ISSに結合して最長60日滞在した後、廃棄物を積み込んでISSから離れ、大気圏に再突入して燃え尽きる。
H2Bは、JAXAと三菱重工業が共同開発した国内最大の新型ロケット。H2Aと同型のエンジンを2基束ねて打ち上げ能力をH2Aの約1.4倍に向上させた。
JAXAは、昨年5月に打ち上げた金星探査機「あかつき」が同12月、金星周回軌道に乗れなかった失敗を受けて特別点検を実施。H2Bでも使用し、失敗原因となった部品の安全性を再確認するなど、打ち上げに万全を期していた。
また今回の打ち上げで、こうのとり2号が連結されていた第2段ロケットを制御して南太平洋上に落下させる実験も初めて実施し、成功した。落下物による地上への被害確率をより低減できるという。【川島紘一】
全長10メートル、直径4.4メートルの円筒形で、最大6トンの物資を積める。米スペースシャトルの引退後は、ISSに大型機材を運べる唯一の手段となる。09年9月の1号機成功後、JAXAが愛称を公募し、「大切なものを運ぶ」イメージからこの愛称が選ばれた。現在は使い捨てだが、有人宇宙船化を視野に、ISSから実験材料などを地球に持ち帰る機能を持たせる研究も始まった。