航空自衛隊第一開発局
第一会議室は長い沈黙に包まれていた。
そんな中一人の大柄な佐官の男性が口を開いた。
「彼ら以外にISを動かせる男がいるとは…。」
「航空自衛隊の不知火社一等空尉【15歳】,中国軍の皇文傑(ホァン・ウェンジェ)中尉【15歳】だったか?」
「中国軍は今のところ文傑中尉を二人目のISを動かせる男として…派遣するらしい。」
「われわれはどうする?」
「不知火一尉は派遣するべきか?」
「今のところ上は静観するべきだといている。」
「そうだな…今は織斑一夏を表に出し不知火一尉を裏で動かすべきかと…。」
「それは……織斑一夏に対する火の粉を払わせるためか。」
そしてまた会議室に静寂が訪れた…。
部屋の大半の人間が目を瞑りどうすべきか考える。
そしてその静寂は終わりを告げる。
「不知火一尉は現状を維持しつつ、諜報課は織斑一夏に対する監視および諸外国の動向について定期的に報告を行う事とするそれでかまわないか?」
「もしIS学園で何か有ったらどうしますか?」
「その場合不知火一尉に護衛として行ってもらう、それはもちろん転入という形で入ってもらうということだ。」
「解りました…。」
「それでは解散とする。」
会議室にいた人間は退出した。
そこには航空自衛隊二等空佐の階級章をつけた男が残った。
「…社」
彼、不知火縁二等空佐のつぶやきは静寂の中に消えた。
第三アリーナ
「不知火一尉今日も絶好調ですね」
黒いショートヘアーで二等空尉の階級章をつけた女性がそう言った。
そしてプラチナブロンドの腰まで有る髪を首の辺りで縛り一等空尉の階級章をつけた男は目を軽く閉じて答える。
「そうだろうか…雪風はまだ最大スペックを出せていない」
「ですがデータを見れば自己記録を塗り替えてますよ」
「まだだ自立戦闘兵器である【ウィスプ】12基と手持ちの兵器の同時使用これが出来なきゃ意味が無い。」
「そうかも知れませんが……」
二等空尉の階級章の女性が何かを言おうとして…やめた。
「それより…湯本香織二尉もう昼だ昼食でもみんなと摂って来い。」
「不知火一尉は、どうされるのですか?」
「僕は…そうだな報告書を出してからにする。」
「わかりました。午後は、今後についてブリーフィングが有りますので遅れないで下さい。」
「わかった、わかった。」
そして湯本二尉は部隊のメンバーと食事を摂るべくみんなと合流し食堂へ向かった。
不知火一尉は、着替えるべく更衣室に行きシャワーを頭からかぶる。
そして首に首輪の様なチョーカーの形で待機状態に有る【IS】を触りつつ独り言を言い始めた。
「まだ雪風に反応が追い着いていない」
彼の扱う【IS】雪風は第3,5世代機にあたり機動力はほかの【IS】を遙に凌駕している。
背中に大型浮遊式スラスターを6基搭載。装備は30強搭載可能という機体であり彼はこの雪風を過剰なまでに信頼しているがゆえに、
そのスペックを十二分に発揮できない自分にいらだっていた。
「情けない…」
と彼はつぶやいたがその声はシャワーの音にかき消された。
しかし彼はその後、立ち上がり着替えて更衣室を後にした。
食堂
「香織どしたの?」
「不知火一尉元気なかったから…。」
「不知火一尉…彼がどうかしたの?」
「あいつって、あんまりにも無表情だしよくわかんないけど…そうなの?」
「涼子上官に向かってあいつは無いだろ。」
「失礼しました、上官殿!!…それより一尉がどうしたって?」
「……」
一緒に食事をしている雨宮静香一尉と高原涼子二尉、そしてひたすら食事だけをして
いる、綾瀬水月二尉は(若干一名を除いて)笑いながら食事をしていた。
そんな中綾瀬二尉がしゃべった。
「……不知火一尉は、結構完璧主義なところが有る、だから問題ない……と思う。」
「そうかな?」
「完璧主義だから、思うように結果が出ないのが悔しい…のだと思う。」
「でも毎回この四人でも一方的にやられるから、こっちの方が悔しいわ!!!」
「それも…そうね。」
「明日こそは、絶対に落とす!!!」
「……どうせまた涼子から落とされる。」
「ぬあんですって!!!」
「……どうどう、そんなだから落とされる…あと食事は残さない。」
水月は食事を終えてトレーを返しにいった。
その後涼子が食事時を口にかき込んで水月に制裁を加えるべく走っていった。
「香織気にしても仕方ないわ。彼の悩みは多分だけど、兄の開発した機体で思うような結果が出なくて悔しいのだと思うわ。」
「そうかも知れませんね。」
「さあ私たちもいきましょ。」
「ハイ!」
そして香織と静香も立ち上がり食堂を後にした。
しかし午後のブリーフィングは走り回って気持ち悪くなった雨宮一尉以外は屍のようになっていた、
…にもかかわらずきちんとブリーフィングの内容を聞いているのはすばらしいところだろう……気持ち悪くなるのは論外だが。
と不知火社は語る。
あとがき
今回は、自衛隊所属の主人公の周りを書いてみました。
次回からIS学園にちょくちょく入っていく予定ですのでよろしくお願いします。