対立する暴力団幹部を射殺したとして殺人罪に問われた男を懲役30年とした判決に対し、検察側が裁判員裁判で初めて量刑不当を理由に控訴した事件の控訴審判決が2日、東京高裁であった。矢村宏裁判長は「被告は反省しており軽すぎて不当とは言えない」として1審・東京地裁判決(10年10月)を支持、検察側の控訴を棄却した。
最高検によると、2月25日現在で裁判員裁判の判決は1893件言い渡され、検察側が6件で控訴している。検察の控訴に対する高裁判決は初めて。
判決によると、山口組国粋会系組幹部、岩佐茂雄被告(50)は元暴力団員の男(33)と共謀し07年2月、東京・六本木の路上で住吉会系組幹部(当時43歳)を殺害した。
検察側は控訴審で「仮釈放後も終生にわたり保護観察下に置く無期刑が不可欠。共犯者は無期懲役となっている」などと主張したが、矢村裁判長は「被害者に銃弾を命中させたのは共犯者で責任に差がある」と判断。「殺意はなかった」と主張した弁護側の控訴も棄却した。【伊藤直孝】
毎日新聞 2011年3月2日 19時23分