2011年3月2日19時43分
少女にナイフを示して性的暴行を加えたとして、強姦(ごうかん)罪に問われた男性被告(44)の判決が2日、大阪地裁であった。長井秀典(ひでのり)裁判長は「被告に強姦されたという少女の説明は具体的ではなく、被告が犯人と認めることはできない」と述べ、無罪(求刑懲役6年)を言い渡した。
男性は昨年7月1日夜に大阪府北部の公園で、面識のない当時15歳の少女にナイフを示し、強姦したとして起訴された。男性は同9月20日の逮捕から一貫して否認し、公判でも「公園の外を歩いていた少女に声をかけ、公園内で会話をしたが、脅したり性行為をしたりしていない」と主張していた。
判決は、強姦被害に関する少女の説明に対し「被害の核心部分なのに、犯人の言動やナイフをどちらの手で持っていたのかなどについて具体性に欠ける」と指摘。少女は公園から帰宅しようとした男性を近くのバス停まで案内したことが認められ、強姦していないとする男性の説明は信用できるとした。
判決後、弁護人の林友宏弁護士は取材に「客観的な証拠もなく、起訴自体が問題だった」と話した。男性は林弁護士に「言い分が認められてよかった」と語ったという。
大阪地検の大島忠郁(ただふみ)次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議の上で適切に対応する」としている。(岡本玄、野上英文)