「１年目で優勝する」と宣言し、昨シーズン最下位だった楽天の再建に取り組む星野仙一監督（64）。かつて中日、阪神を率いてリーグ制覇３度の闘将が、８年ぶりに現場に戻ってきた。これまでのところ春季キャンプでは選手に雷をおとさず、じっくりと構え、観察に徹している。クライマックスシリーズ（ＣＳ）に進出した2009年以外はＢクラスに沈む球団創設７年目のチームを、どのようにして「勝つ集団」に仕上げていくか。チーム立て直しのカギを聞いた。

■特長を十分に生かしきれていない

――昨シーズンのチーム状況をどう分析しているか。

　「技術は未熟だし、まだまだ野球が下手だな、という感じ。例えば聖沢や内村といった足が速い選手がいても、ここが勝負という肝心な時にスタートが悪い。特長を十分に生かしきれていないという印象だ」

　「今の戦力を考えると、機動力重視でやるしかない。かき回して点を取る『いやらしい野球』をしないと。そのためには個々の選手が状況判断の能力を磨くことが大切だ」

■勝負に対して淡泊

　「それは実戦の中でしか、上達しないことでもある。練習の時は冷静に次のプレーを予測できても、１点を争うような緊迫した場面では頭が真っ白になるタイプの選手が多い。まずは『迷わず次の塁を狙え。前に思い切って出ろ』と、こちらが選手たちに勇気を持たせてやるようにしないといけない」

　「歴史が浅いチームだから『最初は負けても仕方ない。ゼロから作り上げた球団だから』と思っているところが多少はあるだろう。勝負に対して淡泊なんだよ。負け試合が多かったから、屈辱も味わっているはずなんだけれど、執着心とか執念、気迫がほかのチームより劣っているんじゃないか」