2011年1月24日 22時49分 更新:1月25日 2時9分
今年度に入り急増していた兵庫県内のツキノワグマの目撃件数が、昨年12月末現在で1614件と過去10年間で初めて1000件を超えたことが24日、県のまとめで分かった。今年度は食料となる木の実が2年ぶりの凶作となり、昨秋の実りのシーズンには1カ月で500件前後の件数が報告された。本格的な冬入りで大半のクマは冬眠中だが、今年1月になってもクマの捕獲例が絶えないことから、県は引き続き警戒を怠らないよう呼びかけている。
県森林動物研究センターによると、夏に急増した目撃件数は、9月に420件、10月には542件と加速。年間の目撃件数が09年度181件、08年度でも450件のため、1カ月で1年間の目撃件数を上回るハイペースが続いた。冬の気配が強まる11月は236件、12月には30件と収束してきているが、昨年12月末の時点で、過去10年間で最多だった04年度(985件)の1.6倍にまでなった。
地域別では、北但が1025件と全体の約6割を占める。次いで▽南但296件▽西播192件▽丹波68件--と続き、阪神でも4件報告されている。目撃件数がなかったのは神戸と東播だけだった。
クマの目撃件数が異常なまでに多くなった最大の原因は、山林の食料不足だ。コナラやブナ、カシ、シイなど木の実が2年ぶりの凶作で秋になってもほとんど実がならず、冬眠に向け食料を求めるクマの目撃件数が爆発的に増加。捕獲されたクマの頭数も昨年12月末現在で211頭と、過去10年で最多だった06年度(53頭)の約4倍にまでなっている。
クマの冬眠入りで1月以降は例年、目撃件数が一けた台に落ち着くが、大人の雄のクマがイノシシのオリに捕まっているのが見つかった事例も、今年に入り報告されている。同センターは「ほぼ大丈夫だとは思うが、決して油断はしないでほしい」と話している。
同センターは来月27日、クマの大量出没をテーマにしたシンポジウムを神戸市中央区脇浜海岸通1の県立美術館ミュージアムホールで開催する。参加費無料で定員200人。申し込みは同18日まで。問い合わせは同センター(0795・80・5500)。【石川貴教】