子ども手当法案について、菅総理大臣は、政府提出の法案にこだわらず、野党側との修正協議に柔軟に対応したい意向ですが、協力に期待を寄せる公明党内では「支持率が低迷する菅内閣に協力するのは得策ではない」という意見が強まっているのに加え、民主党内にも反発があり、成立に向けた道筋は見いだせていません。
平成23年度予算案は、1日未明、衆議院を通過しましたが、予算の執行に必要な関連法案のうち、赤字国債を発行するための公債特例法案や子ども手当法案などについては、野党側が反対の姿勢を示しているなか、現状では成立が極めて困難な情勢となっています。こうしたなか、子ども手当法案について、菅総理大臣や民主党の岡田幹事長は、政府提出の法案にこだわらず、趣旨を大きく逸脱しない範囲で現実的な措置も模索したいとしており、児童手当法を改正する形や所得制限を設けることも含めて、野党側との修正協議に柔軟に対応したい意向です。しかし、協力に期待を寄せる公明党は、山口代表が「一部の人が中途半端な意見を言うのではなく、党としての方針をまとめるほうが先だ」としているほか、党内では「支持率が低迷する菅内閣に協力するのは得策ではない」として、修正協議に応じるべきでないという意見が強まっています。一方、民主党内にも「子ども手当と児童手当は似て非なるもので、菅総理大臣らの姿勢は納得できない」とか、「所得制限を設ければ社会全体で子どもを育てるという政権交代の理念が崩れる」などといった反発が出ています。加えて、衆議院本会議での予算案の採決で、会派離脱届を提出した小沢元代表に近い16人の議員が欠席するなど、小沢氏の処分を巡る党内対立が深刻化するなか、菅総理大臣の求心力の低下を指摘する声が出ており、子ども手当法案の成立に向けた道筋は見いだせていません。