「よい大学に行って大手に就職しろ」という親が今でも少なくないことを考えると、恐らく国民の大多数は、この緩やかな身分制度を本能的に理解し、(消極的ながら)支持しているのだろう。だからこそ、その身分を不正に入手しようとする行為に反応してしまうのだろう。
これが、「勉強してないのに卒業するなんてけしからん」という人はいないけど、「勉強してないのに入学するのはけしからん」という人が多い理由である。
もっとも、変化の兆しは見えている。秋田県の国際教養大のように、徹底した実務教育により入口より出口を重視する大学が(2004年の新設にもかかわらず)大手企業から高い評価をされている事実からは、企業が「素材」より「即戦力性」にシフトしはじめていることが見て取れる。
ゆくゆくは、「入試にせよ新卒採用にせよ、重要なのは入り口だけ」という身分制度は終焉を迎えるだろう。その時に泣きを見るのは、入り口でインチキをした奴ではなく、中で努力をしていない人間なのは言うまでもない。
城 繁幸
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