不正入試より「不正卒業」を取り締まれ

2011/3/ 1 15:10

   京都大学の不正入試が話題になっている。試験中に携帯電話から外部の第三者にサポート要請したというアレである。まあ、よくないことは事実なのだが、この手の話を聞くたびに、なぜ入試だけこんなに盛り上がれるのかな、と疑問に感じてしまう。

   というのも、「必修の単位落としたけど内定取ってるから許してもらった」とか「スポーツ推薦枠だと授業出てなくても単位もらえる」とか、出口に関するその手の話は山のように存在するからだ。かつての「なべやかん明大裏口入学事件」の時もそうだったが、どうやら日本人にとっては、出口より入口の方が重要らしい。

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教育の中身が問われないのは「終身雇用」だから

   だが、これはおかしな話だ。

   普通に考えたら、入口より出口の実力で判断した方が合理的なのは明らかだ。普通の常識人なら「調理師学校受験時の成績」よりも「調理師学校卒業時の成績」の方を重視するだろうし、もっといえば食べログなどのクチコミサイトで現在の実力を見るだろう。

   実際、先進国では、入口をなるべく広くしつつ、出口を引き締めて品質を維持するという大学制度が一般的だ。なぜ日本人は、入口を重視するのか。

   理由は、日本の大学制度が、学び舎というよりも一種の身分制度だからだ。

   日本企業の多くは「終身雇用」という閉じた環境の中で、新人を自社向けの人材としてゼロから教育していく。だから、そこそこの素材があればよくて、大学教育の中身までは問わない。

   これが、採用選考時に成績表なんて見ず、初任給が一律からスタートする理由である。要するに正社員という身分制度に、大学も緩やかに結びついているようなものなのだ。

   ちなみに、上位の正社員身分に入れれば、不況時にはエコポイントのようなバラマキで支援してもらえるし、それでもダメならJALのように税金で救済してもらえることもある。正社員身分といってもいろいろランクがあるが、上の方はそれなりに美味しい身分ではある。

(続く)

城繁幸(じょう・しげゆき)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログはDoblogに障害が発生したため、gooブログに移転中。

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