中国軍の「空母キラー」にアメリカ軍の新型無人戦闘機、軍拡競争の今を検証しました。
中国軍の新たな弾道ミサイルが西太平洋に荒波を起こしています。通称「空母キラー」、中国軍の接近阻止戦略の切り札です。警戒感を強めるアメリカ軍は、空母搭載の新型無人戦闘攻撃機を開発した。軍拡競争の今を検証しました。
2011年1月19日、訪米した中国・胡錦涛主席に「中国の平和的な台頭は、アメリカや世界にとって良いことだと間違いなく信じています」と、直接語りかけたオバマ大統領。
しかし、ステルス戦闘機「殲(せん)20」の意図的リーク。
そして、空母「ワリヤーグ」の建造など、軍事力の誇示を加速させる中国。
こうした中、中国軍の野望を示す新たな事実がまた1つ明らかになった。
3月、アメリカの太平洋軍、ロバート・ウィラード司令官は「間違いなく、中国は手ごわい弾道ミサイル能力を持っています。この20年間、成長し続けた結果です。われわれは、これを注意深く監視しています」と述べ、中国の弾道ミサイルに言及した。
中でも、特に警戒を示したものがあるという。
軍事評論家・岡部 いさく氏は「『対艦弾道ミサイル』というものです。通常は、敵の国土とかを狙う弾道ミサイルを使って、アメリカの空母を攻撃しようとする、いわば『空母キラー』と呼ばれる新兵器ですね」と話した。
岡部氏によれば、射程2,000kmとも言われる弾道ミサイルを広東省に配備した場合、自国の海域とする東シナ海や南シナ海に、アメリカ海軍を入り込ませない、接近阻止・領域拒否という中国の狙いが実現可能になるという。
実際、中国外務省の姜副報道局長は1日、FNNの記者の質問に、「黄海はとても敏感な海域であり、アメリカが慎重に行動し、地域の平和と安定にプラスになるよう積極的に貢献してほしい」と答えた。
こうした中国の新戦略の現れが、中距離弾道ミサイル「DF-21」を改良した「DF-21D」だという。
DF-21Dは沿岸部などから発射され、弾道を描きながらはるか洋上で航行中のアメリカ空母を襲うという。
しかし、岡部氏は「これはまったくの新兵器で、アメリカも開発できていません。航行中のアメリカ空母をどうとらえるのか。少なくとも、時速数千kmで落下してくる弾頭を、アメリカの空母にどう命中させるのか。おそらく中国としては、衛星などを使って空母の動きを監視して、最後には弾頭のレーダーで目標をとらえることになるんでしょう。ただ、いずれにしても、実戦配備に未知数は残ります」と話した。
一方、アメリカ軍はこの中国側の動きに早くも対抗策を打ち出している。
それは、試験飛行を始めた無人攻撃機「X-47B」。
岡部氏によれば、この攻撃機はDF-21Dの射程外にいる空母から発進し、中国本土沿岸部に展開する発射システムの攻撃が可能だという。
さらにアメリカ側は、この無人攻撃機の作戦の突破口を開くのに適した、有人・無人の新たな戦闘機の研究を始めている。
岡部氏は「戦闘システムのロボット化を進めているアメリカにとっては、この中国の新兵器の脅威というのは、さらなる軍事技術開発を進めるための一種の踏み切り台になるんじゃないでしょうか」と話した。
(03/02 01:25)