日本相撲協会は28日、八百長問題で中止になった春場所のために編成された番付を「順席」として各部屋に配布し、十両以上を公表した。1月の初場所の番付と成績を基にし、給与や手当を支払うための参考資料となる。順席によると、魁聖(24)=友綱=と栃乃若(22)=春日野=が幕内。八百長問題で調査を受けている14人では2人が幕内に、八百長を認めた千代白鵬と、調査委に関与を認定された清瀬海を含む6人が十両にいる。
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ブラジル出身力士として、初の新入幕会見を開くはずだった魁聖に笑顔はなかった。「残念です。せっかく幕内に上がったのに相撲が取れない。モチベーションが上がらないですけど頑張る」。時折、視線を落としながら、気持ちを奮い立たせようとしていた。
魁聖は、番付の節目で角界を揺るがす大不祥事に見舞われている。新十両を果たした昨年の名古屋場所は、野球賭博問題が発覚した直後だったためNHKによる生中継がなくなった。中継の合間にある新十両のインタビューを受けられず、祖国の家族に勇姿を十分に見せられなかった。
ようやくつかんだ新入幕も、八百長問題でまさかのお預け。目標の「兄弟子の大関魁皇との土俵入り」も、いつ果たせるか分からない状況になった。魁皇からは「あまり落ち込まない方がいい」と励まされたというが、「(新入幕の)喜びより残念な気持ちの方が強い」とため息をついた。
魁聖と栃乃若の2人は、待遇面ではこの日から幕内扱いとなる。給与は十両の約103万円から約130万円に上がる一方、新入幕場所は、次に本場所が開催された時という解釈になる。放駒理事長(元大関魁傑)は「残念だろうが、今起きている問題は全体の問題ということ」と理解を求めた。
午後、魁聖ら友綱部屋の力士は、本場所が早く再開されるよう亀戸天神社(東京都江東区)で祈願した。自分の不運を払しょくすべく、おみくじに挑戦すると、手渡されたのは「末吉」。魁聖は「駄目じゃないですか!」と苦笑いだったが、殊勝に「早く場所が来ますように‐」と祈りをささげた。
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