国立大から角界入りした舛名大が新聞記者に転身へ

　国立大から角界入りした史上３人目の異色力士、舛名大（２６）＝本名・田中周一、愛知県出身、千賀ノ浦部屋＝が現役を引退し、４月から新聞記者に転身することが１日、分かった。

　舛名大は名大在学中の２００６年九州場所で初土俵を踏んだ。自己最高位の東三段目８９枚目だった０９年夏場所中に頸髄損傷の大けがを負い、昨年夏場所からは番付外に落ちていた。手術を受けて再起を目指したが現役続行を断念。「相撲が大好きなので、相撲に関わる仕事がしたい」と相撲担当記者を志し、昨年９月に入社試験を受けた。

　「休」と出題された小論文の筆記試験は長期休場中の体験談を書き、浴衣姿で臨んだ２度の面接では相撲界に関する質問が相次いで出たという。

　八百長問題を受け、日本相撲協会は全力士の引退届を保留扱いとしたが、４月１日に入社式を控える舛名大は師匠の千賀ノ浦親方（元関脇・舛田山）とともに内定通知を持参して放駒理事長（元大関・魁傑）に直訴し、引退を認められた。今月５日に愛知県内で断髪式を行う。弟子の異例の再出発に、師匠は「照れくさいが、あいつが初めて書いた記事を早く読みたいな」と目を細めた。

　１９０センチ、１４０キロの舛名大は「もう不安しかないけど、体力だけは自信がある」。ただ角界の不祥事を取材する瞬間が訪れたら、との問いに「自分が育ったところだけに心苦しいですね。みんなから裏切り者と呼ばれそう」と大きな体を小さくした。