ここから本文エリア 取り押さえ死審判 懲役1年求刑2011年03月01日
警察官による殴打はあったのか――。佐賀市の路上で知的障害者の安永健太さん(当時25)を取り押さえた際、安永さんを殴ったとして裁かれている県警の巡査長、松雪大地被告(30)に対する佐賀地裁での審判は28日、結審した。殴打の有無をめぐり7カ月間で23人の証人が出廷した審理は、検察官役の指定弁護士側と無罪主張の被告側が、双方の証人の信用性について最後まで争った。(波多野陽、甲斐弘史) 懲役1年を求刑した指定弁護士の本多俊之弁護士は「3発の殴打はいかに制圧の一環としてであっても、違法なのはあきらかで、警察官の姿勢として悪質」と述べて論告を結んだ。対する被告側の安永宏弁護士は最終弁論で「殴っていないのは明白。松雪警察官は無罪です」と述べた。 論告・弁論のほとんどは、互いに有利な証言の信用性を訴えることに費やされた。 23人の証人中、鑑定医などを除き、取り押さえを目撃したのは13人。そのうち、指定弁護士側が請求した、現場前の交差点を車で通りがかった女性と、ファミリーレストランにいた女性の2人が、「(被告が)殴ったように見えた」「拳を振り下ろしていた」などと証言している。 指定弁護士側は、現場近くの信号機や防犯カメラの記録から、被告による3発の殴打は午後6時4分47秒〜6分1秒のいずれかの数秒だったと主張。警察官など大半の目撃証人は一瞬の殴打を見のがしたか、虚偽の証言をしたとし、「信用できるのは殴打を見た2人だけだ」と述べた。 一方、松雪被告の弁護側は2人の証言について「不確実な印象が、報道など周囲の情報に影響され、『殴ったに違いない』と推測しているだけ」などと述べた。安永さんの遺体について鑑定した医師らが「典型的な殴打の傷はなかった」とした証言などを根拠に殴打はなかったとした。 松雪被告は「保護行為の内容が公判で明らかになったのに求刑されたのは残念だ」と意見を述べた。 一方、被害者参加人として意見陳述した安永さんの父・孝行さんは「殴ったかどうかが争点となっているのが不満だ。健太が死亡した責任を追及してもう一度裁判をやり直して欲しい」と話した上で、検察側とは別に特別公務員暴行陵虐致傷罪の最高刑となる懲役15年を求刑した。
マイタウン佐賀
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