佐賀市の路上で2007年9月、知的障害者の安永健太さん=当時(25)=が警察官に取り押さえられた直後に死亡した事件で、遺族の付審判請求により特別公務員暴行陵虐致傷罪に問われた佐賀県警巡査長松雪大地被告(30)の論告求刑公判が28日、佐賀地裁(若宮利信裁判長)であり、検察官役の弁護士は懲役1年を求刑した。判決は3月29日。
論告で検察側は「目撃者は『左腕を振り下ろして殴ったようにみえた』と証言しており、胸などの打撲傷は殴打によるものと考えて矛盾はない。警察官の取るべき措置ではなく、遺族の被害感情は峻烈(しゅんれつ)だ」と述べた。
弁護側は「目撃者は殴った瞬間を見ていない。殴ったように見えただけだ」と反論。松雪被告も最終陳述で「暴行、傷害を負わせたことは全くない」と無罪を主張した。
付審判決定書によると、松雪被告は07年9月25日午後6時ごろ、佐賀市の路上で、自転車で蛇行運転しミニバイクと衝突した健太さんを取り押さえた際、胸などを殴ったとされる。健太さんは直後に意識不明となり、搬送先で死亡した。
遺族は08年1月、現場に居合わせた警察官数人を佐賀地検に告訴したが不起訴処分となったため同4月に付審判を請求。佐賀地裁は09年3月、特別公務員暴行陵虐罪で松雪被告の付審判を決定した。
=2011/03/01付 西日本新聞朝刊=