「いまどきの若者の性」が語られるとき、必ずと言っていいほど話題に出るのが「性行動の低年齢化」です。しかし、これは事実なのでしょうか。
『思いこみの性、リスキーなセックス』(池上千寿子/著、岩波書店/刊)は様々な統計データをもとに「若者の性」の実態を解明していく一冊ですが、掲載されているデータの一つに「学校別性交経験率」のグラフがあります。これは中学生・高校生・大学生の何%が性交経験を持っているかを表します。
このグラフを見て1987年と2005年を比べると、
大学生男子の性交経験率は約45%→60%強
大学生女子の性交経験率は約25%→60%強
高校生男子の性交経験率は約10%→30%弱
高校生女子の性交経験率は約10%→30%へ
それぞれ上向いていることがわかります。
しかし、中学生に目を向けると5%未満でグラフはほぼ横ばい。
これを見ると、「若者の性行動の低年齢化」と一括りにするのではなく、○○年代に××世代の性交経験が加速化した、とする方が正確といえます。
■若者が避妊しない理由
性行為には性感染症に罹るリスクがありますし、当然女性は妊娠する可能性もあります。
感染症を予防し、望まない妊娠をしないために避妊に関する知識は欠かせません。
高校生・大学生では子供を作る目的での性行為はあまり考えられないので、ほとんどの人は避妊をすることになります。
しかし、中にはそれをしない人もいるようで、その理由は様々です。
本書に掲載されている「避妊を実行しない理由」のグラフを見ると、大学生の男女が避妊を実行しない理由として一番多いのは「準備していないから」というもの。この後には「たぶん妊娠しないから」が続きます。三位以降は男女で異なり、「面倒だから」(男子)、「言い出せないから」(女子)となります。
コンドームによる避妊をしないことで増えるリスクは思った以上に大きいもの。
大切な恋人を傷つけないためにも、しっかりとした避妊の知識は必須です。
『思いこみの性、リスキーなセックス(若者の気分)』はこの他にも、若年層の性について様々な観点から切り込んでいます。
高校生・大学生の方々はもちろん、親の世代の方々も目を通しておくべき一冊です。
(新刊JP編集部/山田洋介)