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[ライフ]ニュース トピック:主張
【主張】入試ネット投稿 悪質サイバー犯罪許すな
前例のない大学入試の不正が発覚した。京都大などの入試問題が試験時間中にインターネット上に投稿され、第三者から回答をもらうという手口だ。受験生などが携帯電話などを使って問題を流した疑いがある。
「公正な入試を妨げる犯罪」として大学が被害を届け出て、業務妨害などの疑いで警察が捜査を始めた。インターネットの即時性と利便性を利用した悪質なサイバー犯罪といえる。再発防止のためにも徹底捜査と解明を求めたい。
不正は早稲田大、立教大、同志社大でも起き、その他の大学も人ごとではない。韓国では組織的なカンニング事件を機に携帯電話を持ち込み禁止にした。日本でも電源を切った上で机上に置かせ、不正があれば採点しないなどの措置を周知させている例もある。
高木義明文部科学相は「携帯電話を持ち込む是非も含めて考えないと」としている。各大学は携帯電話持ち込み禁止を含め早急な対策をとってほしい。
入試問題が投稿されたのは人生相談などの質問を送り、回答を募ることができるネット検索大手「ヤフー」の質問サイトだ。
京大の場合、2月25、26日に行われた文系学部の数学の全6問と英語の一部が投稿され、試験時間内にほとんどの問題の回答があった。試験開始わずか7分で投稿された問題もある。試験監督者は不審な動きが分からなかったのか。手口や目的など疑問点が多い。
入試をめぐる不正は、発覚すれば合格が取り消され、厳しい処分が取られるのが通例だ。にもかかわらず今回は、多くの人が閲覧できるネットに「途中計算もよろしく」などと投稿し、回答に顔文字付きでお礼を書くなど、どこかゲーム感覚で不正を行っている。
多くの受験生が将来の夢をかなえようと必死に勉強している。入試が人生を左右することもある。社会的にも影響の大きい入試に対する不正行為を摘発しなければ、同種の犯罪が起きかねない。「ヤフー」側が、捜査機関の求めに応じ投稿に関するデータ提供などで協力するのは当然である。
情報機器の発達に伴い、想定外の事態が起きている。ルールやモラルの徹底はもちろん、迅速な対応で入試の信頼が曇ることを防がねばならない。多くの大学でまだ入試作業が続いている。真剣に対応することが必要だ。
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