国連安全保障理事会は、反政府派に武力行使を続けるリビアのカダフィ政権幹部らの資産凍結や国外渡航禁止を柱とする制裁を決めた。オバマ米大統領は、独裁を続けてきたカダフィ大佐の即時退陣も求めた。
だが、カダフィ政権側は、国際社会が求める武力行使停止に応じる姿勢を見せていない。首都トリポリに政権支持者や大佐の出身部族、アフリカ諸国からの傭兵(ようへい)などを集め、反政府勢力に武力で対抗し続ける構えだ。軍は反政府側と政権側に割れた。「内戦」の様相が一段と強まり、さらにおびただしい血が流れる事態になりかねない。
オバマ米大統領は、カダフィ大佐について「権力を維持する唯一の手段が国民への暴力となり、統治の正統性を失った」と指摘した。その通りである。政権側は際限のない武力行使を直ちにやめなければならない。すでに多くの国民を殺傷してきた責任は重大であり、大佐は速やかに権力の座から降りるべきだ。
ただ、リビアは特異な政治体制の国で、独裁権力者だったカダフィ大佐は大統領などの公職に就いているわけではない。何をもって退陣というのか難しいという問題もある。
安保理決議は、一連の弾圧について国際刑事裁判所の調査に委ねた。だが、国際法廷での訴追の可能性が大佐の言動を慎重にさせるとも言い難い。亡命よりは死を選ぶと示唆する大佐らは、なりふり構わず武力による反攻を試みる恐れが強い。
リビア東部の広い地域と西部のかなりの都市は反政府側が押さえた。東部で反政府勢力による自治組織が生まれ、政権から離脱した前法相を中心に暫定政権づくりの動きも始まった。だが、戦闘機などの航空兵力がなお政権側に残っており、空からの攻撃の脅威が反政府勢力の首都接近を抑える要因になっている。
政権側の戦闘機などの飛行を禁止すべきだとの主張も米欧の一部にあるが、安保理は「飛行禁止区域」の設定を見送った。実際に戦闘機などが飛んだ場合、軍事的な対抗措置が必要になるからだろう。
反政府勢力は国際社会の広範な支援を求めている。その一方で、「外国の軍事介入」を拒否するナショナリズムも強い。「内戦」の一方の勢力を軍事的に後押しすることへのためらいは、米欧にもある。
それでも、多数の国民が犠牲になる悲劇は避けなければならない。難民や国内避難民の保護、水や食料の供給など、まず人道支援を中心に、国連や国際機関、主要国は可能な限りリビアの国民を支援すべきだ。
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