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「manaca」発行主体間の差異抱えたままデビュー・・・2月11日、名鉄、名古屋市交などで。障害者に降りかかる'苦悩'

 先日、ICカード型乗車券に纏わる話題を検索エンジン上に求めていたところ、中京圏(名古屋圏)に於ける私鉄及び公営交通を導入対象としたICカード型乗車券「manaca(マナカ)」が去る2月11日に正式サービスインしたとの話題を見つけました。

 

 三大都市圏の中で、最後まで私鉄・公営交通を対象としたICカード型乗車券を導入してこなかった名古屋圏に於いても、ようやくICカード型乗車券の時代の幕開けとなったわけですね。

 

 当ブログでも一度この「manaca」のことを喋っているのですが、すっかり忘れてしまっていました(瓦斯爆)

 

 

 ところで、この名古屋圏に於ける私鉄と公営交通に向けて導入された「manaca」、一つ特異な点があります。

 

 それは発行主体が複数存在すること───首都圏に於ける私鉄と公営交通に向けた「PASMO」や関西圏に於ける私鉄と公営交通に向けた「PiTaPa」など、通常は一つの団体或いは企業がICカード型乗車券の発行や運営を一手に担うものなのですが〔尤も意志決定が別の組織で為されることはありますが…〕、「manaca」の場合は発行主体が2つ存在します。

 

 名古屋鉄道系列のエムアイシー(旧・名鉄ICカード)と、名古屋市交通局系列の名古屋交通開発機構です。

 

 当初の導入6社局のうち、名鉄系列の3社〔名鉄(電車)・名鉄バス・豊橋鉄道〕についてはエムアイシーが、名古屋市或いは第3セクターが運営する3社局(名古屋市交通局・名古屋臨海高速鉄道・名古屋ガイドウェイバス)については名古屋交通開発機構が、それぞれ発行主体となって「manaca」カードを販売する形が採られています。

 

 

 そして、この2つの発行主体がそれぞれ発行している「manaca」の間で、少なくとも2つの差異がみられます。

 

 一つはポイントサービス───「manaca」では2種類のポイントサービスが用意されています。

 

 このうち、導入エリアに属している鉄道・バス路線を利用したユーザーに対して一定条件下で付与する「manacaマイレージポイント」については、発行主体に関係なく、どの「manaca」であっても等しく付与されますが〔付与(還元)率などの条件は導入社局により異なるが…〕、一方で電子マネー機能を利用して買い物をしたユーザーに対して一定条件下で付与する「たまルン」サービスは名鉄系列のエムアイシーにより発行される「manaca」発行分に対してのみ付与される資格があります。

 

 名鉄系列のエムアイシーにより発行される「manaca」───つまり名鉄系列3社の各取扱箇所に於いて発行される「manaca」を指すわけでありますが、その全てに資格があるわけではなく、その中の「記名式」・「定期券付き(manaca定期券)」のみに資格があります《”資格”と記したのは、それらを購入しただけではポイント還元を受けられず、このあとに記す手続きを購入後に踏んでいくことで初めて買い物に際してのポイント還元を受けられるようになるため》。

 

 そして、実際に買い物によるポイント付与を受けようとするならば、名鉄系列3社の導入エリア内の取扱箇所で「記名式」或いは「定期券付き」の「manaca」を購入した上、購入翌日の正午以降に名鉄「manaca」Webサイト上から会員登録(PC・携帯共に可)を行う必要があります。

 

 この先のことについては公式サイトに譲るとして、この「たまるん」サービスの正式な呼び名は「名鉄manacaポイントサービス『たまルン』」───わざわざ”名鉄”と冠されているあたりからして、名鉄のユーザーに向けてのサービスというニュアンスが伝わってきているような感じがします。

 

 なお、この「たまルン」サービスを通じて貯まったショッピングポイントの交換方についても特徴的なところがあり、最終的には名鉄線内取扱窓口(蒲郡駅を除く名鉄線内有人駅出札窓口と名鉄名古屋駅サービスセンター)のみに於いて受け付けてくれるわけですが、その過程で「『たまるん』チャージ券」なるものの紙発券(+郵送)を受ける必要があるあたり、ペーパーレスの流れに逆行しているような気がしないでもないところ───この点、自動改札機にタッチして電車に乗っても電子マネー機能を使って買い物をしても同一のポイントで還元してくれて〔還元率は別にして〕、且つポイント交換(チャージ)も自動券売機(但し機種限定)にてその場で処理してくれるJR九州「SUGOCA」は格段に使いやすいといえるところでしょう。

 

 まぁ”「『たまるん』チャージ券」の紙発券”というプロセスを挟むことで、その後の事務処理がスムースになることが期待出来るという利点も考えられるところですけどね。

 

 

 もう一つは障害者割引。

 

 「manaca」には身体障害者手帳もしくは療育手帳の保持者を対象とした「割引用manaca」(記名式)も用意されています《これとは別に、将来、名古屋市が65歳以上の高齢者に向けて発行している「敬老パス」や名古屋市交通局が障害者等向けに発行している福祉特別乗車券についても「manaca」に移行させることを検討中との話も聞かれます》。

 

 この「割引用manaca」は、導入6社局のうち名鉄(鉄道線)と豊橋鉄道を除く4社局に於いて割引大人運賃を自動適用してくれるものなのですが、名古屋市交通局系列の名古屋交通開発機構の発行分にのみ用意されています。

 

 販売取扱箇所も限られていて、名古屋交通開発機構が発行主体として発行・運営を担っている3社局のうち、名古屋市交通局(地下鉄・バス)と名古屋臨海鉄道(あおなみ線)の2社局に於いてのみ販売されています《名古屋ガイドウェイバス(ゆとりーとライン)に於いては販売の取扱無し》。

 

 なお、対象者のうちの「療育手帳保持者」についてですが、地元・名古屋市が発行する療育手帳(「愛護手帳」と呼称されている)は勿論のこと、他の自治体が発行する療育手帳の保持者についても対象となっている模様。

 

 

 ここで「割引用manaca」について”名古屋交通開発機構が発行する「manaca」についてのみ用意”と記しましたが、言い換えれば、「割引用manaca」を購入する時点で名鉄「たまルン」サービスを受ける資格を放棄する・・・ということにもなります。

 

 先にも記していますように、「たまルン」サービスは名鉄独自で提供されているものであり、対象も名鉄系列のエムアイシー側で発行する「manaca」に限定されています。

 

 逆に、障害者割引の適用された「割引用manaca」は名古屋市交系列の名古屋交通開発機構側でしか発行されない・・・

 

 名古屋圏に在住・在勤などしていて障害を抱えている人たちがこれから「manaca」を持とうとする際、ある意味究極な選択を迫られるのでは───と思ってしまうところがあります。

 

 しかし、実はこのことに関しては既に『ヤフー知恵袋』に質問トピックの一つとして挙がってきており、そのトピックで「ベストアンサー」として認定された回答によると、名鉄系列の発行主体エムアイシーに直接問い合わせた結果として、まず記名式たる「割引用manaca」を1枚持つと同時に名鉄の窓口などで名鉄系列発行の記名式「manaca」を別途購入し、その名鉄側の分についてのみ「たまルン」会員登録を済ませるとよいのだとか。

 

 ただ、「ベストアンサー」に認定された回答によると、名鉄の駅員など現場職員の中には「作ることは出来ない」と拒否するケースもあるのだそうで・・・

 

 そこで、たまたま見つけた『manaca取扱規則』───エムアイシー編名古屋交通開発機構編の2種類───を取り寄せて目を通してみたところ、記名式「manaca」に分類されるもののうち、12歳未満の小児向け「小児用manaca」と障害者向け「割引用manaca」に関しては1人につき原則2枚以上発行しないことが定められている(第14条の5)一方、誰でも購入可能な通常の記名式「manaca」に関しては、その定めは見当たりませんでした。

 

 このことから考えると、名古屋市交系列発行の「割引用manaca」と、名鉄系列発行で「たまルン」への会員登録が可能な通常の記名式「manaca」の両方を所持することに関しては規則上問題ない、ということがいえるわけですね。

 

 尤も、先に紹介した『ヤフー知恵袋』内関連トピックで示されている「ベストアンサー」は、現状では、取扱店の少なさから、「たまルン」ではそれほどポイントは貯まらない、と語っていますが───ただ、今後、取扱店が増えるに従って「たまルン」サービスによるポイント付与の機会が増えるようなことが予想されれば、検討する余地が出てくるように思うところです《「ポイントサービス『たまルン』」も「マイレージポイント」と同様に「manaca」全体に開放されるのが一番ベストなのは言うまでもないところなんですけどね…》。

 

 

 以上、内包する2つの差異を目の当たりにするうち、あることを考えるようになっていました。

 

 北九州の福岡地区で導入されているICカード型乗車券のうち、西日本鉄道が導入している「nimoca」と福岡市交通局(地下鉄)が導入している「はやかけん」───極論っぽくなってしまいますが、今度名古屋圏に於いてサービスインされた「manaca」は、これら北九州に於ける「nimoca」(私鉄系)と「はやかけん」(公営交通系)を、各々の名称について一つのブランドに統合・付け替えさせた上でそのまま販売しているようなもの(つまり「nimoca」と「はやかけん」の2つを共に「manaca」という名称とした上でそのまま販売するようなもの)ではないだろうか・・・

 

 極論どころか暴言になってしまいそうなところなのですが、今度の「manaca」の仕組みについて色々読んでいくうち、正直そう感じてしまった次第。

 

 尤も、どの発行主体であれ、正式に「manaca」カードと名乗っている以上は、「manaca」サービスを導入している電車・バス路線(区間)そして諸店舗に於いて乗車券機能や電子マネー機能を行使することが出来るという基本的部分は差別されることなく担保されていますし、導入されている電車・バス路線(区間)に於いて乗車券として行使することにより得られる「マイレージポイント」に関しては、どの「manaca」を所持していても、利用事業者毎に定められた還元率に従って、差別されることなく付与されるわけですから、その点では”完全に2つに分かれて”いるわけではありませんが・・・

 

 改めて、ある意味、特異な存在のように正直思えるところがありますね。

 

 

 今後のスケジュールとして、まず来年(2012年)春を目処に同じ地元・中京圏などで導入されているJR東海「TOICA」と乗車券機能に限定しての相互利用サービス提供を開始、その後再来年(2013年)春を目処にJR東日本「Suica」と乗車券機能に於いて、更に先の「TOICA」も合わせた3者間で電子マネー機能に於いても、それぞれ相互利用サービス提供を開始───これにより「manaca」・「TOICA」・「Suica」の3者間に於ける包括的相互利用関係が完成することになります。

 

 ”2013年春”といえば、現在JRグループ内で導入されているICカード型乗車券5種類と全国の主要な私鉄・公営交通系ICカード型乗車券5種類の合わせて10種類による壮大な相互利用サービス提供構想の実現目標時期ともなっているわけですが、勿論「manaca」・「TOICA」・「Suica」の3者間で包括的相互利用関係が完成した頃に於いて実現となっているか否かは現時点では何とも言えないわけで・・・

 

 その一方で、中京圏に於いて忘れてはならないものがもう一つ───名鉄グループ傘下の一交通事業者で、岐阜県内に於いてバス事業を展開させきている岐阜乗合自動車(岐阜バス)が、中京圏に於けるバス事業者として、いち早く「ayuca」と呼ばれるICカード型乗車券を導入(2006年12月→JR東海「TOICA」新規導入の翌月)しているわけでありますが、現時点ではこの「ayuca」との相互利用サービス提供につながる話は一切聞かれていません。

 

 でも、同じ中京圏内に於いて根ざすもの同士、岐阜県内ひいては中京圏内に於ける公共交通の利便性の向上を図る意味に於いて、この「ayuca」との相互利用もまた是非検討されるべきものであるように思っています《岐阜県内にも名鉄電車のネットワークが張り巡らされていますし…》。

 

 

 関西住まいの私がこんなことを言うのは変なのですが、中京圏に於ける私鉄・公営交通に対してようやく正式導入となった「manaca」がこれからどう成長していくのか、鉄道好きの一人として楽しみにしていようと思います。

 

 

<(_ _)> ありがとうございます。応援よろしくお願いします <(_ _)>
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