2011年3月1日11時8分
【ソウル=箱田哲也】韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は1日、日本による植民地支配下の1919年に起きた「3・1独立運動」を記念するソウル市内での式典に出席した。李大統領は緊張する朝鮮半島情勢について北朝鮮に対し「今こそ新しい未来を切り開く適切な時期だ。我々はいつでも、開かれた心で北と対話する準備ができている」と述べ、対話再開を呼びかけた。
南北の軍事当局は先月、約4カ月ぶりに実務者協議を開いたが決裂。北朝鮮は2月28日から始まった米韓合同軍事演習に対して「ソウルを火の海にする」などと強く反発している。だが、南北は今も互いに本格的な対話再開を模索しており、李大統領は演説を通して北朝鮮にメッセージを伝えた。
李大統領は演説でまず日本に対し、韓国併合100年の昨年8月に菅直人首相が出した談話を土台として「誠意ある行動と実践に移るべきだ。そうすれば両国が過去にとどまらず、未来に向かって進むことができる」と述べた。
そのうえで「北も北東アジアの平和と共同繁栄の新たな波に一緒に乗るよう促す」とし、「多くの国々を援助している韓国が、同じ民族である北を助けられないわけがない。北は核、ミサイルの代わりに対話と協力で、武力挑発に対する責任ある行動で、真の和解と協力の道に出てこなければならない」と訴えた。
任期4年目に入った李政権は、対話再開の糸口が見えない南北関係や物価高などを理由に、各種世論調査でも支持率が低下している。李大統領は演説で、韓国国民はかつての経済危機を克服したとして「今また、その時その気持ちに立ち返り、新たな挑戦を勝ち抜かなければならない」と呼びかけた。