オナニー事件
テーマ:ブログブログを再開させて頂くことにしました。
というのも、
つい先ほど、どうしてもブログに書かねばならないような出来事が起きてしまったのです。
―――思い起こせば、7年前。
楽天でブログを始めた日のことを思い出します。
あのとき僕がブログを書くきっかけになったのも
「自宅に帰ったら椅子の上に巨大なウンコあった」
という出来事でした。(実話です)
(もしこのブログが続くようであれば、あの出来事については
もう一度詳しくお伝えすることもあるでしょう)
あの椅子にこんもりと盛られた巨大なウンコを見たとき
「この出来事を誰かに伝えなければならない」
そんな使命感に駆り立てられ
無我夢中でキーボードを叩きました。
そして今、
僕はまさにあのときのような使命感に駆りたてられながら、キーボードを叩いています。
事の発端は、
僕がアマゾンで本を買ったことにありました。
今回、僕はブッダ関連の本を数冊買ったのですが、
その本と一緒に
エロ漫画を買ってしまったんですね。
いや、これも僕が悪いというより100%アマゾンが悪いんですけど、
「水野敬也さんにお勧めの本があります!」
とか勧めてくるんですよね。
さらに
「この本を買った人はこんな本も買ってます!」
とか勧められると、ついついそっちも見ちゃうんですよね。
で、僕の趣味はエロ漫画収集なわけじゃないですか。
むしろ本業はそっちみたいなとこあるじゃないですか。
分かる人にしか分からないと思うんですけど
「ANGEL世代」のど真ん中じゃないですか。
それで中学生の当時からずっと今に至るまで
世のエロ漫画というものに目を光らせてきている僕は
もう、分かるんですよ。
タイトル、装丁を含めた作品全体から発せられるオーラで
そのエロ漫画がどれくらいのクオリティなのか。
具体的に言うと、どれくらい抜ける代物なのか、
つまりは、
「抜ける」かどうか「見抜ける」男なんです。
で、今回買ったエロ漫画なんですけど、
ある作家の、初の単行本で
その作家については知りませんでした。
つまり、予備知識がほぼない状態で、
そのエロ漫画を買えるか、買うに値するか。
ちなみに、エロ漫画好きって言いましても、
やたらめったら買うわけじゃないんでね。
「エロ漫画ソムリエ」としてのプライドがありますから。
「外す」という行為はお金だけの問題じゃない。
僕の審美眼に関わる「心の死活問題」なんですよ。
そこで、1つだけあったアマゾンのレビューを食い入るように読んで
(4回ほど読みました)
そのレビューが内輪の人の書いたものなのか、そうでないのか
感情的になりすぎていないか、マニアックになっていないか
レビューをしている自分への陶酔はないか
それらの情報を整理分析した結果、
「GOだ」
と判断して、買ったわけですよ。
そんなにまでして買ったエロ漫画を差し置いて
誰がブッダ読めるんだって話じゃないですか。
それができたらもう悟り開けてるよって話じゃないですか。
だから速効でアマゾンのダンボール開いて
エロ漫画にまっしぐらに向かいましたよね。
そしたら、まあ、
「さすが、俺」
でした。
「見事、俺」
でした。
ちょっと早めの
「俺、オブ・ザ・イヤー」
でした。
まあ、完璧な当たり作品だったんですよ。
ただこういうことを書くと
「お前、タイトル教えろよ」って言われるんですけど
それは言えません。言えるかボケ。
こっちは良いエロ漫画にたどり着くまでにどれだけの金額と労力使ってるんだって話なんですよ。
エロ漫画ソムリエとして有料メールマガジン発行したいくらいの勢いなんですよ。
(※ただこういうこと書くと「水野の本の印税は全部エロ漫画に消えてる」みたいなこと言う人がいるんですけど、僕は車とかも持ってませんし、趣味も全くありませんし、寄付もしてるし、エロ漫画は基本中古品なんで、ってなんで俺がわざわざここで言いわけせんといかんの?
いいじゃない、水野頑張ってんだから! エロ漫画くらい買わせてあげなよ!)
ま、というわけで漫画のタイトルは教えられませんが、
著者の方には直筆の手紙を送ろうと思ってます(マジで)。
こういうの大事なんですよ。
エロ漫画っていうのは、
はっきり言って、消費者の質も良くないですから。
アマゾンのレビューとか見てると、
分けわからんところホメたり、
良いところをけなしたりしてますから。
著者はそういうの見てますからね。
ダメな客に潰されたエロ漫画家何人も見てきてるんですよ、こっちは。
だからちゃんと直筆で
「主人公の男性が最初インポであるという設定にしたことによって
ここでの女性の行動にリアリティが出ていて素晴らしい」
「ここですぐに女性が感じ始めず、ぎりぎりまで抵抗したのは素晴らしい」
などと書くのです。
たぶん、通常のエロ漫画家の消費者たちはここまでやらんと思うからね。
良質なエロ漫画市場は、今後も水野が支えていきますよ。
まあ、というわけで
アマゾンのダンボールを開いて2分後にはズボンを降ろしていましたよね。
そしたら事務所の僕の部屋がノックされて、
Hっていう名前のアシスタントが入ってきて
僕は必死にズボンを引き上げたのですが
まあ、作品が素晴らしかっただけに、
その世界に没入していた僕は
完全にタイミングが遅れまして、
そしたらHもおどおどしながら
「今日飯僕作りますんで」
とか言って僕もズボン上げながら
「た、頼みます」
とか言ったんですけど、
もう空気がピリピリ来てるんですよ。
つーか、エロ漫画がそのまま机の上に出しっぱなしになってるんですよ。
僕はこのとき直感しました。
「あ、これは完全に見られたな」と。
―――僕、今年で35歳なんですよ。
しかも、見られた相手、親じゃないですよ。
アシスタントですよ。
事務所でオナニーするような男のアシストを、誰がしたいんだって話じゃないですか。
最初は
■ オナニーを見たHを口止めする
ということも考えました。
しかし、これは大きな危険が伴うということが分かりました。
というのも、秘密というのはゆくゆくはバレるものですし、
なによりこの口止めという行為を含めてバレてしまったら
「水野は部屋でオナニーをしていて、さらにその事実を隠蔽しようとした」
という、巨大な恥の上にさらに巨大な恥を塗り重ねる、もう、恥のスカイツリーですよ。
しかし、
しばらくすると
僕は、この問題が単なる恥ずかしさだけにとどまらないことに気づいたのです。
現在事務所では、今、僕だけ個室を割り当てられており、
他のスタッフたちは全員大部屋にいます。
そして僕たちは
「心地良いスパルタ」
をスローガンに
できるだけ長時間頑張ることを目標に仕事を続けてきました。
そして、
「部屋でオナニーする」という行為は
この信念に完全に反することになります。
すると、事務所の士気が下がり、
みんなが仕事をしなくなり
ゆくゆくは事務所が経営できなくなっていくということも
全然起こり得るのです。
オナニー倒産です。
僕は―――考えました。
その事態を防ぐために、
考えに考え抜きました。
まだ抜いてないのに、考え抜きました。
そして、一つの結論に達しました。
それは、過去の偉大な人たちすべてがこの選択をしたであろうと思われますが、
それは、
「正直に話して謝罪する」
ことでした。
変に取り繕おうとせず、間違っていたことを認めて謝罪する。
これしかないと考えたのです。
そして、それはHが他の人に言う前に、
自分の口から言わなければならないと考えました。
そこで僕はすぐに
「みんな集まってほしい。今から大事な話がある」
と事務所のスタッフ全員を集めました。
今までこんな風に皆を集めたことはありませんでしたので
事務所には緊迫した空気が漂いました。
1年以上事務所に来ているOが泣きそうな顔で言いました。
「もしかして、事務所、閉鎖とかですか?」
僕は言いました。
「それを防ぐために、みんなに集まってもらったんだ―――」
そして、僕はみんなの前で正座をし、拳を膝の上で握りしめました。
どうしてこんな年になってまで、
こんな恥ずかしい思いをしなければならないのか。
こういう思いをしたくなくて
俺は、ひたすらに頑張ってきたのではなかったか。
しかし、どれだけ小さくても、悪の火種は摘み取っておかねばならない。
それが、永続的に繁栄するための唯一無二の方法なのだ―――。
僕は自分にそう言い聞かせながら、震える声で言いました。
「実は……先ほど……部屋でオナニーしてました。すみませんでした――」
するとHが言いました。
「あー、そうだったんですか?」
―――え?
「いや、俺、水野さんの部屋入るの初めてだったんで、どこに座ってるかも分からなくて」
―――は?
「言われなきゃ分かんなかったですー(笑)」
茫然自失となった僕は、
ふらふらとした足取りで部屋に戻り、
椅子に座って頭を抱えました。
一体、これ、何?
一体、この出来事は何だったのか。
意味の無い逡巡。
そして、意味の無い告白。
神は一体、何の意図があって僕にこんなことをさせたのか。
ひたすら考え続けました。
すると、そのとき、頭の中で声が聞こえてきたのです。
「ブログ、書きなさいよ」
声は続きました。
「どうせスタッフ全員にバレちゃったんだから、
みんなにバラしちゃいなさいよ。
そしたら、いつか、君もこう思えるかもしれないよ。
『ああ、あのときオナニー見られたって勘違いして良かったな』って」
このとき、姿は見えませんでしたが、
僕にはこの声の主が誰なのかはっきりと分かりました。
ブッダです。
まだ1行も本を読んでませんが、
というかブッダの本は現在もアマゾンのダンボールの中に置き去りにされたままですが
あれは、間違いなく、ブッダからのメッセージでした。
そんな神の啓示を受けたこの日を記念して、
ブログを再開させていただこうと思います。
今後ともよろしくお願い致します。