入試ネット投稿 誰がどうやって 解けぬ謎 短時間で正確に 合格だけが目的?
産経新聞 3月1日(火)7時57分配信
短時間で正確に問題文を外部に伝えることは可能なのか。多くの謎に包まれた入試問題の流出。誰が、どうやって、何のために…。警察当局が近く捜査に着手することも想定されるが、複数犯であれば捜査は長期化するとの見方もある。
▼手段
最大の謎は試験監督者がいる試験場からどうやって外部に流出させたかだ。
携帯電話に詳しい武蔵野学院大学准教授(モバイル社会論)の木暮祐一氏は「必ずしも難しくはない」と指摘する。木暮氏は「幼少から携帯電話に慣れ親しんだ世代なら、物陰で携帯電話をブラインドタッチできる」と断言。スマートフォン(高機能携帯電話)ならば、シャッター音が出ない機種もあるうえ問題用紙を高画質で撮影し短時間で送信が可能だ。
問題文の句読点もほぼ正確で、用紙の文字を読み取り文章化する機能を使った可能性も否定できない。
ただ、カメラ機能付き携帯電話を利用した場合、ピントを合わせる動作は試験監督者の目につきやすい。シャッター音もスピーカーの穴をふさげば音は抑えられるが、静寂な試験場ではリスクがある。そのため動画機能を使用したとの見方も出ている。
▼狙い
流出が確認されたのは京都大、同志社大、立教大、早稲田大の東西4大学。他大学は受験していなかったのか、監督官の目が厳しく“犯行”を断念したのかは分かっていない。
大学合格だけが本当の目的だったのか疑問視する向きもある。実際、投稿直後からネット上では疑惑が広がり、今回の犯行自体もすぐに発覚した。
質問サイトに登録し質問するにはユーザーIDを知らせる必要があり、容易に個人特定に至る場合もある。みずほ情報総研の吉川日出行氏は「ユーザーIDを公表してまで、本当に答えが欲しかったのか疑問」と、愉快犯の可能性を指摘する。木暮氏も「リスクが大きすぎる。外部の協力者が問題を解くはずだったのが、解答に窮し助けを求めたのかもしれない」との見方を示す。
▼捜査
被害届を受理すれば警察当局は今後、質問サイトを運営するヤフーに、アクセス記録開示を要請する。捜査関係者は「開示の手続きは各企業の都合で時間がかかる場合もあるが、長くても1カ月以内で終わる」と明かす。
捜査関係者によると、携帯電話からサイトにアクセスした場合、携帯電話会社に残された通信記録などから契約者が割り出される。「単独犯」ならば捜査は進む。だが「協力者」を経由した「複数犯」であればパソコンからアクセスした疑いが強い。その場合はプロバイダーなどから契約者をたどるが、海外サーバーを経由したり、契約者が企業だったりすると、個人特定が困難な可能性もある。
前代未聞のカンニングは刑事事件に発展する見通しだが、甲南大学法科大学院教授(刑法)の園田寿氏は「試験終了前に外部に入試問題が漏出し、公正な入試を疑われ入試業務が妨害された。社会を騒がせた罪は決して軽いものではない」と訴える。
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携帯電話に詳しい武蔵野学院大学准教授(モバイル社会論)の木暮祐一氏は「必ずしも難しくはない」と指摘する。木暮氏は「幼少から携帯電話に慣れ親しんだ世代なら、物陰で携帯電話をブラインドタッチできる」と断言。スマートフォン(高機能携帯電話)ならば、シャッター音が出ない機種もあるうえ問題用紙を高画質で撮影し短時間で送信が可能だ。
問題文の句読点もほぼ正確で、用紙の文字を読み取り文章化する機能を使った可能性も否定できない。
ただ、カメラ機能付き携帯電話を利用した場合、ピントを合わせる動作は試験監督者の目につきやすい。シャッター音もスピーカーの穴をふさげば音は抑えられるが、静寂な試験場ではリスクがある。そのため動画機能を使用したとの見方も出ている。
▼狙い
流出が確認されたのは京都大、同志社大、立教大、早稲田大の東西4大学。他大学は受験していなかったのか、監督官の目が厳しく“犯行”を断念したのかは分かっていない。
大学合格だけが本当の目的だったのか疑問視する向きもある。実際、投稿直後からネット上では疑惑が広がり、今回の犯行自体もすぐに発覚した。
質問サイトに登録し質問するにはユーザーIDを知らせる必要があり、容易に個人特定に至る場合もある。みずほ情報総研の吉川日出行氏は「ユーザーIDを公表してまで、本当に答えが欲しかったのか疑問」と、愉快犯の可能性を指摘する。木暮氏も「リスクが大きすぎる。外部の協力者が問題を解くはずだったのが、解答に窮し助けを求めたのかもしれない」との見方を示す。
▼捜査
被害届を受理すれば警察当局は今後、質問サイトを運営するヤフーに、アクセス記録開示を要請する。捜査関係者は「開示の手続きは各企業の都合で時間がかかる場合もあるが、長くても1カ月以内で終わる」と明かす。
捜査関係者によると、携帯電話からサイトにアクセスした場合、携帯電話会社に残された通信記録などから契約者が割り出される。「単独犯」ならば捜査は進む。だが「協力者」を経由した「複数犯」であればパソコンからアクセスした疑いが強い。その場合はプロバイダーなどから契約者をたどるが、海外サーバーを経由したり、契約者が企業だったりすると、個人特定が困難な可能性もある。
前代未聞のカンニングは刑事事件に発展する見通しだが、甲南大学法科大学院教授(刑法)の園田寿氏は「試験終了前に外部に入試問題が漏出し、公正な入試を疑われ入試業務が妨害された。社会を騒がせた罪は決して軽いものではない」と訴える。
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最終更新:3月1日(火)7時58分