2011年3月1日0時57分
菅直人首相は28日、在任期間が266日になり、鳩山由紀夫前首相と並んだ。政権が昨年6月に高支持率で船出してから8カ月余り。「鳩山越え」の節目を八方ふさがりの状況で迎えた。失速の背景には、鳩山時代に続きマニフェスト(政権公約)に苦しめられる民主党政権の姿がある。
菅首相は25日夜、鳩山政権と並ぶ感想を記者団から聞かれ、「新年度予算を成立させることが国民にとって一番重要なことだ。私自身も全力をあげて頑張りたい」とだけ述べた。国会の予算審議に四苦八苦する窮状を印象づけた。
朝日新聞の世論調査で、内閣支持率は今年2月は20%に低下。鳩山前首相の退陣直前の17%に近づいた。
菅首相の政権運営を苦しめてきたのは、2009年の衆院選マニフェストだ。そもそも09年マニフェストは、10年夏の参院選で民主党が勝利して衆参で過半数を握ることが前提だった。ところが、参院選は首相が消費増税を持ち出したことが引き金になって大敗。野党が多数を握る「ねじれ国会」で、子ども手当はじめマニフェストの目玉政策の完全実施は困難になった。
財源不足もあって、新年度予算案は子ども手当の支給額や高速道路料金無料化などマニフェストの看板政策の実現が不十分に。首相は「有言実行内閣」「熟議の国会」と訴えるが、野党は、予算案を「マニフェスト違反」と批判し、対決姿勢を強めている。
首相や岡田克也幹事長ら政権幹部は、野党の理解を得ようとマニフェスト修正にも言及したが、党内の「反菅」勢力に突き上げの口実を与え、足元も動揺が収まらない。首相は23日の党首討論で自民党の谷垣禎一総裁に「丸のみできるような案を出してほしい」と、自民党が用意する予算案の対案に大幅譲歩するかのような姿勢まで示した。