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[国際]ニュース トピック:主張
【主張】中国の集会封じ 民主化要求にフタできぬ
中国でインターネットを通じ一党独裁の終結を求める日曜日の「中国ジャスミン革命」集会が、武装警察まで動員した厳戒態勢によって2週連続で封じ込められた。
北アフリカ・中東諸国での政変や反体制デモに触発された中国市民の意思表明である。内戦状態に陥ったリビアなどとは違い、非暴力に徹した運動だ。集会の封じ込めは、言論、集会、結社の自由を保障する中国憲法に反する弾圧ではないか。
20日に計画された集会は北京や上海など13都市だったが、27日は少数民族問題を抱える新疆ウイグル自治区を含む二十数都市に広がっていた。呼びかけの内容は、一党独裁の終結や私有財産権の保障、言論・報道の自由など民主主義国家なら当然の要求である。
にもかかわらず当局は事前に携帯電話のショートメールを規制し、民主活動家らを自宅軟禁状態にした。作家らが集会情報を広めたとして国家政権転覆などの容疑で拘束したほか、集会に参加しようとした若者の連行が相次いだ。人権の侵害であり、即時釈放を強く求める。
中国当局の民主化運動抑圧では1989年6月、軍が学生や市民らの抗議集会を武力鎮圧し、多数の死傷者が出た天安門事件が際立つ。最近では2008年3月、チベット自治区で「独立」を唱えるチベット仏教の僧侶らが「北京五輪破壊の扇動」として弾圧された。翌09年7月、少数民族政策に起因する新疆ウイグル自治区の暴動でも多数の犠牲者が出た。
だが、専制や圧政を認めない民主化要求に蓋をすることはできない。中国のネット利用者は現在、4億5千万人以上もの巨大勢力だ。経済格差と閉塞(へいそく)感への怒りの噴出だったチュニジア、エジプト政変や中東諸国の反体制デモに、同じような不満をもつ中国の若者が反応した事実を、中国当局は真摯(しんし)に受け止めるべきだ。
リビアの最高指導者カダフィ氏はテレビ演説で「天安門では武装していない学生も力で鎮圧された」と述べ、反体制デモへの無差別攻撃を正当化した。これについて中国外務省報道官は言及を避け、天安門事件当時の中国当局の対応を正当化するだけだった。
温家宝首相はインターネットでの市民との対話で不満の解消に取り組むと言明した。集会の圧殺は自らの発言を否定している。
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