事件【主張】NZ地震の教訓 耐震化の遅れ放置するな2011.2.27 02:14

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【主張】
NZ地震の教訓 耐震化の遅れ放置するな

2011.2.27 02:14

 どこか日本と似ていないか。そう考えさせられるニュージーランド・クライストチャーチの地震である。語学研修で滞在中の日本人生徒らを巻き込んだ震災から、建物の耐震補強の遅れなど、わが国の事情と共通する部分が浮かび上がる。

 懸命に続く救助活動の成功を祈り、国内の地震対策に生かす道を探りたい。

 類似点の第一は、ニュージーランドが日本と同じく、環太平洋火山帯に位置していることである。強い地震を起こすプレート(岩板)が列島の下に潜り込んでいる点も同様だ。

 被災したクライストチャーチは、河川が運んだ砂泥層の上に立つ都市である。太平洋にもほど近い。地盤は軟弱で、マグニチュード6・3の地震によって土地がゆるんだ。ビルの崩壊など、被害が大きくなった一因は、この液状化現象にもあるとみられる。

 日本でも東京や大阪、名古屋をはじめ、大都市は臨海部に多い。海を埋め立てて造成された区域もある。地盤の軟弱さもクライストチャーチとの共通項だ。

 ニュージーランドでは、地震研究が進んでいた。日本の地震学者らも一目を置くほどの、この分野での先進国である。耐震技術も発達していた。

 にもかかわらず、この惨状である。歴史的な建造物や最新基準以前の建物などの補強が進んでいなかったのではないか。

 耐震の遅れは、日本においても深刻だ。公立小中学校の4分の1以上で校舎や体育館の耐震性が危ぶまれる状態だ。震度6強の揺れで倒壊の恐れがある建物は、約7500棟に上る。

 住宅の耐震補強工事も一向にはかどらない。財政難や家計への負担が大きいためである。政府は耐震診断や補強工事に公の資金が充てられるよう努力すべきだ。

 子供たちや、高齢者を含む一般住民の安全性が高まるだけでなく、有用な工事は経済の活性化にもつながろう。

 首都圏でも警戒されている直下地震の破壊力はすさまじい。また遠くない将来、太平洋側で起きる海溝型の巨大地震では高層ビルが長い周期の揺れに襲われる。

 新しい移民の国、ニュージーランドと日本の相違は、歴史記録の厚みの差だ。繰り返す地震はある程度、予測できる。耐震化率の向上で被害の軽減を図りたい。

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