開国フォーラム:TPPなどテーマ さいたまで開幕
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)など経済連携をテーマにした政府主催の公開討論会「開国フォーラム」が26日、さいたま市で開かれた。政府から玄葉光一郎国家戦略担当相らが出席し、菅直人首相が掲げる「平成の開国」について理解を求めた。
来月21日まで全国9都市で開く討論会の第1回。TPPについて政府は情報収集を進めているが、農産物の関税撤廃を警戒する農業関係者などからは反対論も目立つ。討論会は、政府から直接国民に語りかけることで、TPPなどへ理解を深めてもらうのが目的。この日は約350人が参加した。【乾達】
毎日新聞 2011年2月26日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/biz/archive/news/2011/02/26/20110226dde035020034000c.html
今日は、この記事を基にしてみようかと思います。前回は、折角来て下さったのに申し訳ありませんでした。
未だに「TPPにはメリットが有るんだ~」と意地になって叫んでいるお馬鹿さんの所を覗いてみました。
一般的な考え方としては以前に(日本の景気とTPP… )というエントリーで書きましたよね。
何度も言いますが…「使えると思ったなら、私のエントリーは遠慮せずに使って下さい。報告や許可を求める必要は全く有りません。」
それにしても…彼らはクラクラするような論理展開をしていますよね。何となく”それっぽいデータ”を使っているような書き方ですが、自称インテリ経済通の方が何を根拠としているのか見てみましょう。
・日本は輸入と輸出で併せて25%もの依存率だから貿易は大切だ~
確かに日本は貿易立国であるという考え方には私も賛成です。ただ、比較対象が違うのですよね。
それにしても”それっぽいデータ”を使われると、何となく納得させられてしまいそうな論理展開ですよね。
迷ったなら思い出して下さいね。「私達は最強の武器を持っている」という事を。そう、一般常識とインターネットです。
先ずは、統計局からデータを借りて考えてみましょう。
http://www.stat.go.jp/data/sekai/09.htm
このようにデータが出されています。出来れば最新の2010年までのデータも早く出して貰いたいですね。
では、見てみましょう。各国の比較をする為に2008年のデータで考えましょう。
日本の場合
輸出依存度+輸入依存度=16.1+15.6=31.7%
韓国の場合
輸出依存度+輸入依存度=45.4+45.8=91.2%
オランダの場合
輸出依存度+輸入依存度=61.8+55.8=117.6%
では、「日本は貿易依存度が30%以上だ~」と叫ぶなら韓国の場合はどうなるでしょうか?
「韓国は貿易依存度が90%以上だ~」となりますよね。
そして、オランダの場合は「オランダは貿易依存度が117%以上だ~」となりますよね。
おかしくないですか?韓国はGDPに占める内需(国内での商売又は消費)の割合が1割も無い事になりますよね。
極めつけは何と言ってもオランダですよね。オランダは”GDPよりも貿易の方が多い”という事になりますよね。
GDP=消費支出+投資支出+輸入
または
GDP=一定期間に生産された全ての最終財+サービス
となっています。つまり、「幾らお金を払ったか?」という消費者の目から見たGDPと「幾ら価値の有るモノを作ったか?」という生産者の目から見たGDPの2つの見方が有るのです。
もしも輸入と輸出を合計するのなら
とでもするべきですよね。ただ、何処の経済学者が唱えている説なのでしょう?新説を発表すれば一気にノーベル賞も夢ではないかも知れませんよ。(真に受けないで下さいね)
もしも、上記のような論理展開をする”お馬鹿さん”が叫んでいたなら聞いてあげて下さい。
「あなたの言う経済学は何という経済学ですか?」と。
つまり、輸入と輸出を単純に合計して片方のGDP(消費、生産のどちらか)と比較するというのは”詐欺”ですよね。
脱線しますが、私が「日本は貿易立国だ」と言っているのは他国との比較からです。中国やメキシコと比較してもそれ程の依存度の差が有りませんよね。(これは、考える方の捉え方によりますが…。)
確かに日本は内需が大きいのは事実だと思います。しかし、資源の無い国で貿易を無視する事は出来ませんからね。
脱線ついでにお話ししましょう。
実は、私も最初は間違っていたので大きな事は言えないのですが…。
・国内で自動車を作れば部品代は内需なんだ~
中間財・サービスは別の中間財・サービスを作る為の要素として使われるので”二重カウントを避ける為にGDPに中間財・サービスは加えない”事になっています。
”経済通”なら知っていて当然ですよね。つまり部品は、どんなに作ってもGDPにはカウントされないのです。
同じ理屈で、自称インテリさんが述べる事として「100万の車を輸出すると外需だけれど、下請けに30万を払えば内需だ~」という”お馬鹿丸出し超理論”も有りますね。
他人にご高説を披露する前に、もう一度GDPに付いて学んで来られた方が恥をかかずに済みますよね。
そして、自由貿易が推奨されるには”前提”が有るという事を知らないようです。両国が”完全雇用の状態”でのお話なのですよね。他にも色々と有るようですが…私もまだ完全には理解していないので…御免なさい。
他にも有りますよね。最近は減ってきましたが…。
・TPPに参加しないと韓国に追い抜かれる~
これは、先程の資料の韓国の輸入依存度や輸出依存度を見て下さい。2007年から2008年にかけて10%もの伸びが有りますよね。
何が有ったのでしょうか?
このように為替が大きく動いた時期なのですよね。簡単に1$=1000Wの時と1$1500Wの時を考えてみましょう。
韓国の1000万ウォンの自動車をアメリカに輸出した場合です。(関税が無かったと仮定しています。)
1$=1000Wの時
1$=1500Wの時
単純に1W=何ドルかを考えて、それを1000万倍にすれば良いですよね。
1000万W=1$÷1500×1000万=6666.6ドルですよね。
アメリカ人にしてみれば、かなり安くなりましたよね。韓国製品が売れているのは”性能ではなく値段が安い”からなのですよね。
極論すれば、TPPに参加するという事は”ダンピング(安売り)競争に参加する”という事ですよね。
おかしいですね。「TPPに参加すれば技術力が上がる」という言葉と矛盾しますよね。つまり詐欺を働いているのが明白なのですよね。
「数%の関税なら為替の変動で吹き飛ぶ」というのは理解出来ますよね。
・関税や非関税障壁を取り払ってヒトを多く入れれば看護師も増えて私達の利益になる~
データ無しで勝手に脳内妄想だけで発言するような馬鹿発言ですよね。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1890.html
ちゃんと”データに基づいた意見”を述べられないお馬鹿さんがインテリを気取ると、こういった馬鹿を晒す事になりますよね。
グラフから分かる事としては、「アメリカの医療費の対GDP比率は私的支出が多い」という事ですよね。
つまり”アメリカは医療保険も病院代も私的に多額のお金を払っている”という事ですよね。
お情けで”国民一人当たりの医療費支出額”は出すのは止めておきましょう。私のブログを読んで下さる方は是非、ご自身で探してみて下さいね。
TPPに参加して国民皆保険制度が崩れた時に何が起こるかはアメリカの事例を見れば分かりますよね。
グラフを見れば一目瞭然ですが、日本よりも”公的支出”が多くをカバーしているのは数える程しか有りませんよね。
もっとイメージが湧きやすいデータとしては次のようなデータを作られた方も居られます。
http://www.geocities.jp/yamamrhr/ProIKE0911-73.html
このように表にして比較すると分かり易いですよね。自由化して東京と大阪では診察料や入院費用が倍も違うとなった時に「規制緩和・自由化して良かった~」と言える方は居ませんよね。
TPPに参加して今の国民皆保険制度を壊す事が本当に”消費者利益”だとは言えませんよね。
そろそろ、お馬鹿さんも自分が馬鹿だと自覚出来たでしょうか?
それでも、笑いモノになりながら「TPPに参加して看護師が増えるのは消費者利益だ~」と叫べるのなら、是非とも叫んで貰いたいモノです。
お馬鹿さんの理想は外国人の看護師が増えて日本人の患者が誰もいなくなった状態なのでしょうか…。それとも”自分だけは、いつまでも仕事や収入が安定的に有るという願望”の下での発言なのでしょうか…。
何だか病院とエッチなお店とを混同しているのでしょうね。
・農協などの利権団体を潰すのが目的だ~
これに至っては「おまえは朝鮮人か?」とでも言うしか有りませんよね。
アメリカには利権団体が無いと本気で思っているのなら「馬鹿じゃないの?」と言ってあげて下さい。
”ロビイスト”という単語を検索すれば山のように出てきますよね。
つまり、”農協を潰す事は日本の利権団体を追い出して外国の利権団体を入れる事と同じ”なのですよね。
外国の利権団体が日本人の事を考えて事業展開をするとでも思っているのなら…馬鹿に掛ける言葉は無いですね。
結論としては、「TPP参加によるメリットは無い!」としか言えませんね。
民主党や一部の”お馬鹿さん(売国奴)”が賛成しているTPPですが、本当に日本の官僚全てが賛成しているのでしょうか?
最も積極的なのは経済産業省ですよね。
経産省:農林漁業向けファンド提案 TPP控え支援策
経済産業省は22日、農業関係者向けファンドの設立などを盛り込んだ農業支援策を発表した。「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)交渉への参加のハードルを下げるため、国内農業の強化を図るのが狙い。
22日に経産省で開いた「農業産業化支援ワーキンググループ」(議長・松下忠洋副経産相)がとりまとめた。農業の経営基盤の強化や消費者と生産者の連携、利益が出る体質作りなど六つの柱を掲げる。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110223k0000m020115000c.html
こういった記事も出ていますが、昔から経産省は積極的に自由化だとか言っていたのでしょうか?
経産省、事故報告義務化へ シュレッダー事故で
経済産業省は24日、シュレッダーで子供が指を切断する事故が相次いだ問題を踏まえ、現行は行政指導にとどまっているメーカーからの製品の事故報告を義務化する方針を公表した。 北畑隆生事務次官は同日の記者会見で、メーカー側から事故報告がなかったことについて「指導ベースだったので、メーカーに(事故を知らせることへの)理解を得られていなかったのが問題」と指摘。今後、義務化する製品の範囲などについて検討するとした。 また北畑次官は、電気用品安全法に基づくシュレッダーなどの安全性に関する技術基準が、現行では大人の指の太さだけを想定しているため子供の指を守れなかったとし、基準を見直す考えも示した。
http://www.47news.jp/CN/200608/CN2006082401002793.html
このような記事も有りますよね。何でも規制すれば良いという分けでは有りませんが、少なくとも以前は「何でも規制緩和、自己責任」といった論調ではなかった事も確かです。
今の経産省は事務次官が”松永和夫”氏ですよね。どうも、この方がトップになってから色々とおかしくなってきたように感じます。
松永氏は”産業構造ビジョン2010”を取り纏める時に手柄を立てた事で次官の地位に上り詰めた方ですよね。
この”産業構造ビジョン2010”は今のTPPで所謂”外資に日本を売り渡す”という考え方と同じです。
(松永経済産業政策局長)
・ 環境技術を始めとする日本の進んだ技術を産業として伸ばしていくことは重要。このためには、アジアの需要をうまく日本に取り込んでいくことが必要。アジアはまだ石炭火力発電の国が多い。中国、インドで既存の発電所をスクラップするだけでCO2 を13 億トン削減できる。
・ 中小企業も部品製造に関わっているので、こうした企業が海外移転する際の知財戦略や標準化戦略を推進する上での政策課題を洗い出していきたい。
・ EPA等については、当然重要な課題と捉えている。アジアにおける取組の代表例としてFTAAPを掲げたが、EPAやFTAも、韓国とEUとの締結に遅れをとらないよう、一層進めていきたい。
http://www.meti.go.jp/policymeeting/2009/document/15_gijiyoushi.pdf
このように”みんなの党と同じ事を言っている”と考えられますよね。
”アジアの需要をうまく日本に取り込んでいくことが必要”とは、みんなの党やそのシンパが好んで使う言葉ですよね。
確かに”お客様”として考えれば大切な市場ですが、”TPP等での移民の受け入れ”はデフレ不況の日本で必要な事でしょうか?
より一層のデフレ不況を悪化させる要因にしかなりませんよね。
そして、”企業が海外移転する際の知財戦略や標準化戦略を推進”とは「企業は日本から出て行け~」と言っているのと同じですよね。
今のデフレ不況の中で企業が海外移転すれば、雇用がどうなるかは馬鹿にでも分かると思うのですが…。本当にこの”松永和夫”氏は日本人なのでしょうか?私には、とても日本人とは思えないのです。
こういった資料もあります。(何だか、いつものPDFと勝手が違うので”アジア新興国における日本企業の市場戦略”を検索で探してみて下さい。)
安売りで市場を席巻してきた韓国が、同じ安売りで台頭してきた中国に苦戦しているという事ですよね。
このように経産省も出していますが、中国に押されて苦戦する韓国企業が”何処で利益を上げるか”を考えれば分かりますよね。
独占状態の韓国国内で暴利を得る事でしか韓国企業は存続出来ませんよね。
みんなの党や民主党、そして今の経産省が言っているのは「日本も韓国のようになりましょう」という事ですよね。
企業が海外で安売りする為に日本国内で海外の何倍もの値段で日本人に製品を売るような状態を推奨するのは正しいと言えるでしょうか?
本当にこれが”消費者利益”と言えるでしょうか?言えませんよね。
最後になりますが、小泉元総理の郵政改革と今回のTPPを同一視する動きも有りますが、私は全く異なると考えます。
小沢・金丸といった旧田中派による”金権政治の根本”は”日米構造協議”ですよね。
そして、その”金権政治の根本”を支えていたのが”郵貯資金による国債の発行”ですよね。
その構造を壊してアメリカの言いなりに”ムダな土木工事(ユートピア等)”をして怠ってきた本当に必要なインフラ整備をしようと考えれば誰でも小泉元総理と同じ考えになるのではないかと私は思います。
その時の行き過ぎたマスコミ報道で”公共事業=悪”といった間違った認識がされてしまった為に麻生総理が苦労したのだとも思います。
マスコミに
誰かの”超理論”よりも私達が持っている昔からの一般常識の方が遙かに強いのですから。最強の武器を自ら手放すような事はしないで下さい。
by ヒロ
一番の”嘘吐き”は誰だ?