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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】国勢調査と区割り まずは定数削減の断行だ
衆院小選挙区の「一票の格差」が最大2・52倍となったことなどが昨年の国勢調査結果(速報値)で示され、政府の衆院選挙区画定審議会が3月から区割りの見直し作業に入る。
「4増4減」などの勧告案を1年以内にまとめるが、問題は大前提となる衆院定数が宙に浮いていることだ。昨年の参院選で多くの政党が定数削減を公約に掲げながら放置しているためで、国会の怠慢というしかない。
税と社会保障の一体改革などで国民に新たな負担を迫る国会議員に、進んで身を切る覚悟はあるのか。国会の土俵作りもままならない状況には、あきれるばかりだ。党派を超えて、早急に定数削減を実現してほしい。
民主党は衆院比例代表80削減を掲げていた。菅直人首相も昨年中に方針をとりまとめると言ったが、まだ関連法案を提出していない。自民党は「3年後に衆参で1割削減」としていたが、衆参の削減の内訳さえ決めていない。
公明党などからは選挙制度改革を求める意見もある。だが、小選挙区比例代表並立制の根幹に関わる変更は短期間の議論で行うべきでない。何より現実的といえない。各党間で比例代表の削減幅を詰めるべきだ。
一昨年の衆院選の一票の格差(最大2・30倍)をめぐる選挙無効訴訟では、8高裁・支部で9件の判決が出た。違憲(4件)、違憲状態(3件)の判断が相次ぎ、最高裁に上告中だ。今回の調査でも格差2倍超が19都道府県、97選挙区に上っている。それらを早急に解消するためにも、定数削減を急がねばならない。
一票の格差が最大5倍以上の参院では昨年暮れ、西岡武夫議長が全国9ブロックごとの比例代表制とする試案を示した。しかし、与野党協議は進んでいない。定数削減と併せて取り組むべきだ。
さきの名古屋市長選などで、議員報酬の削減や住民税減税を掲げた候補が圧勝した背景にも、既成政党への不信感や政治家への批判があった。信頼回復には、国会議員が率先垂範して「ぬるま湯」政治を是正するしかない。
ほかにも議員の歳費カットや各種手当の廃止など、課題は多い。民主党が提起した常任委員長らの日当廃止も実現してほしい。定数削減に加え、特権の洗い直しは最低限の義務だ。
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